平均律・純正律・どっちでもない第3の方法?_説明編_その2

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ハモり続けたいんです、演奏中ずっと。
平均律で調律された楽器はハモれません。
ちょっとズラすとハモれるポイントがあります。
管弦楽器や声楽ならハモれます。

純正律って調律法で演奏すれば、なんとなくハモれる気がしますが、
実際はそうではない。
その調律には、どうにもハモれない和音も沢山含まれます。
更に曲中で転調があると、その転調先次第では壊滅的に気持悪くなったりします。

じゃぁ、どうせいっちゅうんじゃい?
そこで、方法を模索し実証実験を重ねてます。
バッハのコラールを題材にサックス四重奏で。

とりあえず現状はこんな↓感じです。
まだまだ不器用な演奏ですが、少しずつハモり続けるのに慣れてきてます。
物理実験なので歌心薄い演奏には御容赦くださいませ。

サックス4本でハモ研 _ J.S.Bach の Choral を題材に _ こんな練習してます編

本編では、そんな演奏にどんな理屈で辿り着いてるかを説明していきます。

今回は「説明編・その1」の続きです_↓のリンク先
用語など理解しておくと本ページも解りやすいので、まだな方は是非ご一読をオススメします。

ではでは今回の説明を進めますね。

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平均律とは…(ザックリと)

前回は「純正律とはナニ?」で終わりましたね。
なので「平均律とはナニ?」から始めるわけですが、ザックリにしときます。

平均律とは、
1オクターブを12等分した音程を半音として並べた調律法です。

その歴史的背景や導き出す方法など詳細は web上で沢山見かけるので、ここでは遠慮しときます。興味ある方はぜひ検索してみましょう。

ただ1点だけ確認しておきます。
平均律に含まれる音程同士は「どこもハモりません」。
純正音程_倍音列に登場する諸音程関係_をどこにも含まないからです。

厳密には…ですけどね。
特に完全5度と長2度は純正音程とは僅かな違いなので、生楽器ではほぼ無視してよい誤差の範囲です。

あ、完全8度や15度といったオクターヴ関係はぴったり倍音列に登場するオクターヴと一致しますけどね、ハモりを生む音程とは言い難いので…。

大切なのは、人間の音楽的聴覚はポジティヴにファジー(曖昧)ってこと。
平均律で演奏されたハーモニーも「佳かれ」という聴き方をでき、
「本来はこういった美しさのものだろう」
という受けとめ方をできるものです。

なので、
どこに転調しても
「均等に少しだけ気持悪い=どこでも平等で充分に美しい」
という調律法として便利に使われています。

純正律での困り事

まずは純正律について深く知ることから始めます。
それ抜きには、それを越える方法の話にならないので。

純正律だと、主要三和音以外の和音では困ったことが起こりがちです。
簡単に言えばハモれないってこと。
やっぱり平均律でいいや、と思えるほどに気持悪くなる箇所もあります。

「どんな出来事が起きるか」を知り、
「どんな解決法が有り得るか」を見つける、
のが本稿の課題です。

では、そんな挑戦を進めましょう!

純正律長調と含まれる音程の平均律からのズレ

まずは、長調の純正律がどんな音程で構成されているかを観察します。
主要三和音それぞれの構成音を確認し、各音が平均律からどれだけズレてるかを「○セント」と数値で示します。
本稿では煩雑を避けるため、小数点以下四捨五入とします。
次に、主要三和音に登場した音全てを音階的に並べ直します。

実際に音で聴いてみましょう。
 ・Cメイジャーの長三和音を平均律そして純正律で
 ・「ⅠⅣⅤⅠ」のケーデンス(終止形)を平均律と純正律で
 ・長音階を平均律と純正律で(ピッチ操作は上の画像どおりに)
こんな風に演奏してます↓

クラリネットだとこんな感じ↓

フルートだと↓、、ですが深いビブラートをかけてしまったので↑よりは平均律と純正律の違いが判りにくいかもしれません(以下、フルート音サンプルはずっとその問題を孕みますが御勘弁あれ)。

平均律でも充分に美しくきこえますね。
我々はその響きに慣れたポジティブな耳を持ってますから当然です。

純正律は違って聞こえましたか?
すぐにはピンとこなくても、繰り返し聞いてるうちに様々な違いを感じ取れるようになります。
そこに至って初めてこの挑戦が意味深くなります。
慌てずじっくり繰り返しましょう。

どたらが正しい!とか、より良い!ってことはありません。
いずれも実際の演奏に於いて、必要に応じて使い分けられるものですから。
つまり、
違いを感じ取れるようになると、自分の演奏に道具が増えるってことです。

純正律短調と含まれる音程の平均律からのズレ

今度は、短調の純正律がどんな音程で構成されているかを観察します。
(ここでは自然短音階の形で分析を進めます)

ここでも主要三和音と各音の平均律からのズレを示したのちに、主要三和音に登場した音全てを音階的に並べ直します。

実際に音で聴いてみましょう。
 ・Cマイナーの短三和音を平均律そして純正律で
 ・「Ⅰm Ⅳm Ⅴm Ⅰm 」の和声進行を平均律と純正律で
 ・自然短音階を平均律と純正律で(ピッチ操作は上の画像どおりに)
こんな風に演奏してます↓

クラリネットだと↓

フルートだと↓

※「ケーデンス_終止形」でなく「和声進行」と書いた理由__
短調にては5度の和音として自然短音階の構成音のままマイナーコードを使いました。5度の和音が、メイジャーないしドミナント7th でないと、機能和声的音楽で言う所の「属和音から主和音への帰着引力」は起きません。
マイナーコードのままだと、その曲はエオリアンモードの旋法的音楽として聞こえ、Ⅴm からⅠm の動きは終止形(ドミナントの緊張からトニックの緩和という解決の様子)とは捉えないからです。

純正な長調・短調に登場した音、全員集合!

ここまでに登場した音を並べてみると…

少し歯抜けな半音階ですね。
音で聴いてみましょう。1回目は平均律、2回目は純正律です。
クラリネットだと↓

フルートだと↓

純正律のほう、普段の聞きおぼえからは少し奇妙に聞こえますね。
旋律的な動きに純正律をそのまま適用すると妙に聞こえる可能性があるわけですね。

歯抜けの箇所…
↓の2音だけが未登場です。
適切な高さを特定して半音階を完成させたくなりますよね?

なのですが、その前に解っておかねばなことがあります。

「レ~ラ・レ~ファ 問題」

歯抜けな2音の音程特定に挑む前に、
純正律が生まれながらに孕む問題について知っておきましょう。
「レ~ラ・レ~ファ 問題」です。
純正律ではそれらの音程は必ず不協和です。

その問題は、レとラ それ自体に、
あるいは和声的にそれらに関わる諸音程に、
協和的音高選択の可能性を複数見いだすのに繋がります。
もちろん調律楽器では無理で、調音楽器でこそ可能なことです。

「レ~ラ」問題を聴いて確かめる

1小節目、
純正律どおりの音程。この2音間の音程は、
平均律と比べて 20セント狭く、純正な完全5度より 22セント狭い。

2小節目、
レ の +4 を変えずにその純正完全5度上に ラ を設定するなら +6 となります。
少し明るめな高さとして実用的で、不自然さは殆どありません。

3小節目、
ラ の -16 を変えずにその純正完全5度下に レ を設定すると -18。
主音 ド との距離の狭さが少し気になる低さです。
-14 の ミ との長2度(全音)の幅としては良好ですが。

上の3小節を実際に音で聴いてみましょう。
比較しやすいよう、こんな風に演奏してみました。
3パターンとも…
 ・最初に純正なトニックの長三和音を鳴らす
 ・のに続けて各パターンの「レ~ラ」を鳴らす(2小節で一組)

では聴いてみましょう。
クラリネットだと↓

フルートだと↓

なるほど、、譜面の見た目どおりに聞こえましたね。
 Ⅰつ目:ちょっと息苦しい感じ
 2つ目:ホッとする響き合い、明朗
 3つ目:ホッとしつつ、さっきより少し暗い感じ

「レ~ファ」問題を聴いて確かめる

1小節目、
純正な短3度の幅は平均律より 16セント広い。
それよりも 22セント狭いので、だいぶ狭いわけです。
平均律と比べても6セント狭い。

2小節目、
レ +4 を固定して純正短3度上に ファ を置くと +20。
だいぶ高い。+2 の ソ との長2度の狭さが明瞭。
主音 ド との完全4度が広すぎるのも奇妙さの素となりそう。

3小節目、
ファ -2 を固定して純正短3度下に レ を置くと -18。
その数値は「レ~ラ」の時にも登場しましたね。
さきほどと同様の問題が起き得ます。

上の3小節を実際に音で聴いてみましょう。さきほどと同様に進めます。

クラリネットだと↓

フルートだと↓

これらも譜面の見た目どおりですね。
ここでも先程と同じように
 1組目は少し息苦しく、
 2組目は明るく、
 3組目は暗く落ち着いた感じ
に聞こえます。

実際の演奏では、
 ・これらの選択肢を使うか否か
 ・どちらを選ぶか
 ・違った選択肢をヒネリ出すか
などを検討することになります。

「レ~ラ・レ~ファ 問題」は、
Cキーの長短調にダイアトニックな三&四和音
に限っても、以下のような和音に於いて問題、というか音程の選択可能性をもたらします。

では話を戻しましょう。
いよいよ C#/Db・F#/Gb の音高特定への挑戦です。
なぜそれらが長短の純正律からは特定されないか、その経緯確認から始めます。

なぜ2箇所が歯抜けか…

先に進む前にちょいとオサライ。
どんな経緯でその2音が歯抜けになったかを確認します。

~*~*~*~*~

・基音C を基に完全5度上の G と完全5度下の F の音高は、
自然倍音列の早期_第2&3次_に登場する音程から純正音高が確定されます。

・それらをルートとした純正音程(倍音列の早期に登場する音程)での 長三和音・短三和音 から、D, E, B, A, Eb, Bb, Ab の純正音高も確定します。

・ちなみにその時の長3度は倍音列の第4&5次、短3度は第5&6次の音程に依拠。

~*~*~*~*~

そこまでに登場しないのが C#/Db と F#/Gb というわけ。
その2音の高さは、そこまでに確定された諸音との協和的音程関係から導き出されるが、どの音との協和関係を基にするかで結果の数値は変わります。
その様子を次回しばらく連ねます。

実際の演奏では楽曲の前後関係により、どの方法を選ぶのが最適かが変わります。
もちろん絶対的正解はありません。
最終的には奏者のテイストに委ねられます。
とはいえ、
前後の和声に用いられた音高と「繋がりの違和感」が無いような選択ができるとよいでしょう。

前後に「共通音」がある時や、ある声部に完全音程での旋律的動きがある時などに違和感は感じやすいので、選択の手がかりになります。
複数の可能性について、根拠を知り整理しておくと佳い選択に繋がるでしょう。

では、不確かな2つの音の置き場探しの旅を始めます。

☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪

…と言いつつ、

今回はここまで m(_ _)m

実はこの先がけっこうエキサイティングなのですが、
だいぶ長くなったので今回はこれくらいにしておきましょう。

予告編として次回の画像1枚目だけ貼っておきます。
なぜそんなことになるか、詳しくは次回をオタノシミに♪

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お待たせしましたっ!
つづきはコチラ↓

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