平均律・純正律・どっちでもない第3の方法?_説明編_その1

ハモり続けたいんです。

管楽器奏者や声楽家が扱えるようになるとイイだろな、
って音律の組み上げと実証実験を繰りかえしてます。
というか、
実際の生楽器演奏ではこんなことになってるんじゃないかな、
ってのを数理的に分析 & わざわざ再現して実証を試みてます。
それを理解しておくと演奏時の拠り所になると思うので。

具体的には、
サックス四重奏でバッハのコラール(賛美歌集)を題材に、
仮定と実奏を通して、ハモりを肉体化できるよう挑戦を進めてます。

今回は「説明編・その1」として、
純正律・平均律ってなに? それら理解の為の基礎知識の整理
を御紹介します。

今回、生楽器の音で「平均律・純正律・第3の方法」
を比較できるような動画を Youtube に公開しました。
まずは試行錯誤の様子を御覧くださいませ。

、、衣装がガチャガチャですが、ま、違うからハーモニーってことで ^_^;

沢山の種類の音律のうち平均律と純正律が有名です。
どっちもイイもんだと思ってます。
「○○こそ素晴らしいのだ!」って耳にしますが、どちらも素晴らしいです。
けど、もっとイイ方法というか考え方もあると思ってます。
それはあくまでも音律であって調律ではありませんけどね。

ちょっとコンガラカッテきましたね。
それを解きほぐすところから始めましょう。
理解しておくとよい言葉の説明から少しずつ核心に進めますね。

そうそう「律」には歴史上たくさんの決め方がありますが、現在特に対立的に「純正律と平均律」が語られることが多いので、この2つを中心に話を進めることにしました。

「第3の…」に至って、どっちもイイトコあるじゃん、美味しいとこどりしよう!って結論になるわけですけどね。


☆☆ 続編公開しました ☆☆
本ページは基礎的な言葉の説明に終始してます。
そんなのとっくに解ってらいっ!
って人は↓に飛んでいただいて結構です。
路頭に迷ったらここに帰ってらっしゃいませ。

楽音と噪音

楽音とは、
音高を明瞭に識別しやすい音。

噪音とは、
音高を明瞭に識別しにくい音。

楽音は、音のきっかけとなる物体の振動が、
 ・一定の振動数(例えば1秒あたり何回といった)を保つ。
 ・その振動数の整数倍(2倍、3倍、4倍…)の振動を同時に含む。
といった条件を満たします。

噪音は、
 ・基本的な振動が一定を保てない
 ・↑を保ったとしても基本振動と別に含む振動が基本振動数に対して整数倍ではないものが多い。

どちらも音楽の演奏に活かされる音だが、ざっくり言えば、
 ・楽音は、五線譜の上に玉で書かれた高さを読む楽器群、
 ・噪音は、リズムだけ書かれたり、2線譜や3線譜で大体の高さを示される楽器群の音、
と言えます。

基本振動とは別に含まれる、より高い振動周期がもたらす音を「上音」と呼び、
その中でも、基本振動数の倍々々であるようなものを「倍音」と呼びます。

純音_どちらとも言えない音

純音。
楽音とも噪音とも言い難い音。
音高を明瞭に捉えられるので、どちらかと言えば楽音で、楽音として使われることもある音。

音源となる物体の振動の様子が
 1本の綺麗な サイン波=放物線
で捉えられる、その結果の音は、純音と呼ぶにたる独特な音色です。

1本のサイン波で捉えられる、
とは、倍々々…の振動を同時に含んでいないということです。
音のきっかけとなる物体の振動が最も単純なわけです。

普通の楽音なら同時に倍々々…の振動を含むので、その様子をグラフ化すると1本のサイン波とはならず、幾つかの周期のサイン波が掛け合わされた複雑な形の波となります。

自然界では音叉を柔らかいマレットで叩いた音が近い。
厳密な純音は自然界では滅多に起こらず電子発振器でなら作れます。
ところが、人の耳に届く前にスピーカーなどでアナログ化された途端に厳密には純粋な純音ではなくなる。

楽音に含まれる倍々々…な周波数の振動、その1つずつは純音に近いと言われます。
それぞれの含まれる割合が音色を決めます。
なので、シンセサイザーでは色んな高さの純音を掛け合わせるのが音色造りの基本です。

フルートの音は純音だ、別の本ではクラリネットの音は純音だ、
との記述を見かけることがありますが、それが間違いなのは明らかですね。
まっすぐ伸ばしてるだけでも「その楽器」と判る特徴を有している、つまりその楽器に独特の「倍々々…」を含んでいるわけですから純音では有り得ません。

調律楽器と調音楽器

調律楽器とは、
鍵盤楽器などのように、演奏中に即時的に任意の音高への調整が出来ない楽器のこと。
あらかじめ施した調律どおりの音高しか出せない。

調音楽器とは、
声楽や管楽器のように、演奏中に即時的に任意の音高への調整が出来る楽器のこと。
各音でピッチの調整が自由にできます。
逆に言えば1音ごとに出したい音高を造りながら演奏を続けるのでその点は面倒とも言える。

中間的な楽器、
ヴァイオリンなどフレットの無い弦楽器は、開放弦の音高については調律楽器、運指によって作られる音高については調音楽器と言えます。
ギターなどフレットのある弦楽器だと、開放弦については調律楽器、フレットで作られる音高は「おおかた調律楽器」と言えます。
鍵盤楽器と比べれば音高調整を即時的にできる演奏技法があるからです。

音律とは

複数の音高を音楽を成す素材として使おうとする時、
どんな高さの位置関係にある音高を扱うか、を予め決めた約束。
あるいはそれをモノサシのように一直線に並べ、
実際に鳴った音高がどんな位置関係にあるかを測れるようにした概念。

調律楽器では、
音律にかなうように予め機械的調整=調律を施し、
その音律「のみ」での演奏を行います。
シンセサイザーでピッチホイールを操作すれば変えられますけどね。

調音楽器では
 ・ココからソコまでは○という音律
 ・ソコからアソコまでは△という音律
という使い分けも有り得ます。

調律とは

調律楽器において、音律にかなった音高が鳴るように、予め機械的調整を行うこと。

調律楽器は演奏時の即時的音高調整ができないので、調律をうまくやることが演奏結果の美しさに直接影響します。
それ以前に、調律楽器で目指すべき音律を美しく定義することが大切になります。

なので昔から、どんな形の音律こそが調律楽器に相応しいのか、について喧々諤々の歴史があったわけです。

調律に縛られる義理はない

つまり調律とは調律楽器のための概念です。
調音楽器群にはその時々でのより美しい音高を探す自由があり、調律楽器の都合に合わせてやる義理はありません。
ですが、調律楽器を吹くんだ合奏体ではその調律を尊重して合わせてあげるのも大切です。

倍音列と音階・和声・旋律 _1_ ヘルツとセント

旋律は、音階や和声が滲出させる「ある音高群の引力」に対して離れたり近づいたりしつつ、その結果、人の心理に引き起こす作用をもって色彩や景色を描くべく紡がれます。

音階と和声はニワトリと卵です。
どちらがハジマリということでなく「ある源泉」からほぼ同時に湧き出すもの。
ですが音階は、扱われてきた歴史により、源泉から湧いたままの姿よりはだいぶ変形した姿でも利用されます。
逆に、和声もその変形の影響を大きく受けます。

解りにくいですね。じわじわ解きほぐします。

「ある源泉」とは「ある1つの楽音」のことです。

楽音には基本的な振動周波数に対して、倍々々の周波数の振動を含みます。
それらを「倍音」と呼び、
倍音をゾロリと並べて一覧した概念を「倍音列」と呼びます。

自然界に当然に起こる出来事なので、わざわざ丁寧に「自然倍音列」と呼んだりもします。
不自然倍音列があるのか、というと、、無いとは言えません。

以前書いた↓で「インハーモニシティ」を詳しく説明しました。
そこに登場する音群は強いて言えば不自然倍音列なのでしょう。

さて、
倍音列を見てみましょう。
わかりやすいように C音を基本振動=基音として一覧します。

上に並んだ数字は「第○次倍音」を示します。
それはそのまま「振動数が基音の○倍」をも現します。
つまり、
例えば基音が 10Hz だとしたら、第2次倍音は 20Hz で、第7次倍音は 70Hz なわけです。
オクターブ関係にある音を同じ色にしました。
その色が最初に登場した数字を倍々にしてくと同じ色が現れます。

下の数字は平均律と比べてどれだけズレてるかを示します。
単位は「セント」です。
半音の 100分の1が 1セント。
1オクターブは 1200セントとなります。

「セント cent とヘルツ Hz」
セントは「半音という距離の何分の一か」を示します。
ヘルツは「1秒間に何往復の振動か」を示します。
なぜ2つのモノサシが要るのか。

たとえば、低い音域での半音の周波数差が 10Hz だったとします。
その2音を何オクターブか上げてみると、同じ半音でも周波数差は 100Hz になったりします。
音楽的な「音程」という価値は変わらないのに、
物理的な「周波数差」は大きく変わります。

同じ音程でも、音程がもたらす心理現象を現すにはセントが便利。
周波数差がもたらす物理現象を説明するにはヘルツが便利。

 ・音楽的モノサシの単位がセント
 ・物理現象を測る単位がヘルツ
と思っておくとよいでしょう。

では、倍音列の図に戻りましょう。
 基音は赤
 第3、6、12… 次倍音は青
 第5、10、20… は緑
 第7、14、28… はオレンジ
 第9、18… は水色
下に書いた「平均律からのズレ」は、色ごとにずっと共通です。

倍音列と音階・和声・旋律 _2_ 倍音列から湧く和声

この倍音列ね、聴き取れるものです、ある程度は。
楽器により環境により、なにより聴き取ろうとしてからどれだけ経つかにより、聴き取れる範囲は変化します。
ともあれ楽音たった1つから何種類もの音高が聴き分けられるってこと。

生ピアノがあると判りやすい実験ができます。
大抵は平均律に調律されてるので、自然倍音列の厳密な観察にはなりませんが、近似に現象します。

サスティンペダルを踏みます。
低めの音を強く叩きます。
その音に含まれる倍音(に近い)にあたる音群が共鳴します。
最初は1つの音にしか聞こえませんが、低いほうから早く減衰するので、減衰して聞こえなくなった音の1つ上の音が順番に聴き取れます。

次に、サスティンペダルを踏まずに低めの音を強く叩き、その鍵盤を押し続けます。
注意深く聴くと上記と同じような現象が聴き取れます。

管楽器では、低めの音を鳴らし、口腔内容積を変化させると音色が変わります。
つまり諸倍音の含まれる割合が変化します。
音色の違いをゆっくりと連続的に変化させ、柔らかい音と堅い音を往復する内に、基音とは違う音名の音を聴き取れるようになります。

管楽器だと第7次倍音くらいまでが、なんとか聴き分けられるでしょう。
ピアノだともっと上まで判るでしょう。
経験値が上がればもっと高次の倍音まで聴き分けられるかもしれません。

オシロスコープという装置があります。
電気的振動を画面表示する装置やソフトウェアです。
その仕組を音の高さや大きさを測るのに応用したもののうち、
周波数分布などを測るものはスペクトラム・アナライザーと呼ばれます。
その機能の1つ「スペクトログラム」を使うと、
発生している倍音列の様子が見られます。
こんな感じ。

この画像はクラリネットの低音域を鳴らしたあとレジスターキーを押してオクターブと完全5度上の音を出し、それを半音ずつ昇っていった様子を示してます。

含まれる倍音がゾロリと並んで見えますが、
中でも赤いところは音圧が高いわけです。

クラリネットは構造上、奇数倍音を「強く含む」のがよく見えます。
ですが、よく目にする、クラリネットは「奇数倍音しか含まない」という説明は間違いなのも解りますね。
あの説明は、クラリネットのような形の管体(円筒)に1つも穴を開けずにクラリネットのようなマウスピースを付けた場合に成立します。

実際の楽器になると厳密に円筒ではないし、途中に沢山の穴が空いてるので偶数次倍音も含まれるようですね。
その件はそのうち、純粋な円筒管を用いて実証しようと思います。

さて、話を戻します。
まず理解しておくこと。

倍音列に含まれる「音程」(=2音間がどれだけの距離なのか)にある2音を
 ・1つの空間で
 ・同時に
鳴らすと、よく調和します。
つまり、鳴った結果に不安を感じないような響きとなります。

低次倍音に登場する音程だと、調和の度合いは高く、
まるで1つの音かのように調和しやすい。

高次に登場する音程だと、調和の度合いは低く、2つの音として聴き分けやすい。
ですが、
倍音列に登場する音程にピッタリあってるのと無いのと、を比べると調和感はだいぶ変わります。

倍音列に含まれる音程を上手に鳴らすと、本来の基音にあたる音高を人間は感覚します。
その現象は「差音」と呼ばれます。

それと同時に、
その低い音をルート(第1音)とするようなメイジャートライアド(長三和音)をパイプオルガンでドカーンと鳴らしたような感覚も生まれます。
それがハモりです。

ハモりの現象は、同時に鳴らす2音が同じ音色で同じ音量だと観察しやすい。
それらが違っても、音圧や音色具合を調整することで「ハモるツボ」を見つけられます。

たった1音の中に上手にハモるための条件、という情報が含まれてる。
それを解っておくことで上手にハモれる、ってわけです。

倍音列に含まれる音程群は平均律と比べると凸凹が多い。
ですが、その凸凹どおりの音程こそ、人が美しいと感じ易いハーモニーの素なようです。

たとえば、アフリカの人達のコーラスを聴いたことがありますよね?
あの美しさは倍音列にかなった音程が作るものと感じられます。
平均律では得られない美しさってことです。

倍音列と音階・和声・旋律 _3_ 倍音列から湧く音階

基音から第7次倍音までの音を、オクターブを調整して並べ直すと7音音階が出来上がります。
 1 2 3 #4 5 6 b7
平均律と比べると凸凹はありますが、リディアンb7th と呼ばれる音階です。

ちなみに5番目の音を主人公として捉え直せば、メロディックマイナー(旋律的短音階)です。
逆に言えば、旋律的短音階の第4モード(第4旋法)が リディアンb7th だとも言えます。

音階とはつまり、
「倍音列の中の色んな音(音名としてのバリエイションとして)を並べたもの」

と捉えるとしたら、

あまた在る7音音階の中で リディアンb7th. こそが最も調和度(安定性、静寂性とも言える)が高いでしょう。
この中の音高同士を使う限り必ず、基音の倍音列を聴いた人に想起させるわけですから。
どんな旋律でもどんな和声でも1つの音世界のなかに安定して居られるってことです。
その感覚を活かして、別の基音に依って立つ倍音列に依拠する音群に乗り換えると、ガラっと音世界を変えられるとも言えます。

それはトーナルセンターとか、調性とか転調とかいった概念に繋がるものです。
とはいえ実際には、第9次よりも上の倍音は感じ取りが難しいので、この凸凹こそが佳きものと自信をもって感じるのも難しい。

更なる実際。
昔の西洋ではある時から、調律楽器に相応しい音律を求めるのに躍起になり、調音楽器もそれにそこそこ合わせてやるというスタイルを選んだようです。

倍音列と音階・和声・旋律 _4_ 西洋音楽が切り捨てたもの

倍音列の中で「基音とは別の音」として聴き分けられる、
つまり、オクターブ関係ではなく別の音名として聴き分けられる、
それを自信を持って言える音、
は、
先ずは第3次倍音
 _オクターブを変えて読み直せば基音の完全5度上の音、基音がドならソ_
次には第5次倍音
 _基音の長3度上の音、ミ_
の2つと言えるでしょう。

ピタゴラスさんは紀元前6世紀「ド~ソ」の音程を素に、自信を持って使える音程群の導きだしに夢中になりました。
彼の尊んだ「数理的美しさ」に適う音列を並べたかったようで。

簡単な弦楽器 _箱に弦を1本張っただけ、モノコルドと呼ばれた_ を使って、完全5度上の音は簡単に導き出せました。

開放弦を弾けば「基音」が鳴ります。
弦長の 1/2 辺りを軽く触れて弾けばオクターブ上が鳴ります。つまり第2次倍音。
1/3 辺りに触れて弾けばオクターブと完全5度上が鳴ります。第3次倍音ですね。
つまりそれが、音名としては基音の完全5度上、ドに対してのソです。

その次に、開放弦でソがなるようにモノコルドを調律して、同じ観察をすれば、ソの完全5度上=レが見つかります。
それを12回繰りかえすと「シ#」つまり最初のドに至る、、はず、、

ですが、最初のドと比べると約24セント高くなりました。
そのズレはピタゴラスコンマと呼ばれます。

似た言葉「シントニックコンマ」。
ピタゴラス音律に含まれる長3度と、
純正律でのそれ、との音程の差。
前者は平均律と比べると約8セント広く、
後者は約14セント狭い。
ざっくりいえば8+14=22セントの違い。
厳密な計算をすれば 21.51セントだそうです。
 Wikiペディア:シントニックコンマ
混同を避けるためのメモ書きでした。

これを端緒に、ヨーロッパでは調律法つまり鍵盤楽器にふさわしい音律を探し求める歴史が始まりました。

ちなみに、

逆算的に反対方向にも完全5度を求めていき、さっきの譜面とこの譜面の7番目あたりまでの音を並べてやれば、最初の音を中心とした ピタゴラス音階 になるわけですね。
もちろん、F# と Gb は 24セントズレるわけですが ^_^;

ピタゴラスさんが「半音を最小の単位とする」つまり、1オクターブに12音を配置する、のを決着点として想定したのは、ギリシャ時代に使われた音律に含まれた音程が影響しているでしょう。
それと、2、3、4の公倍数なのでなにかと都合がよろしい、のも結果的には理由と言えるでしょう(その点詳しくはまたそのうち)。

ギリシャの音階については↓で少し書いたので御参照ください。

ともあれ、ピタゴラス音階から調律の歴史が始まったことで、より高次の倍音を音階の材料とする発想は廃れたのだと筆者は想像してます。

とはいえ、ピタゴラスさんのすぐ後で第5次倍音の活用は起こりますけどね。
 (下の「純正律とは」の項で紹介します)

あ、そうそう、2つ上の画像の順番で最初に導き出される7音音階は↓です

リディアンです。
仮に C音を基音としたので Cリディアン。
イオニアン(いわゆる普通の長音階)は「最初に」は出て来ません。

「リディアンクロマチック理論」として名高いジョージ・ラッセル先生の考え方は、リディアンこそ多くの音階の「原点的モノサシ」として音世界を整理しようって理論です。
ピタゴラス式こそ音階起源とするなら理に適ってると言えます。

ですが、ピタゴラス式が依って立つ「感覚」は、倍音列から最初に聴き分けられる完全5度「のみ」です。
実際の演奏では、あるいは積み重ねられた人類の音楽の歴史は、それ以上高次の倍音の聴き分けも大きく影響しています。
和声や旋律の各音が如何に響き合うか、それをどう感覚するか、
それらに、より高次の倍音は影響しています。

つまりその点で筆者は、
ピタゴラス式を起点として音律や調律を探求する歴史が始まったことで、
西洋音楽の歴史は多くの感覚を黙殺あるいは切り捨ててしまったのでは?
と感じています。

とはいえ実際の演奏現場では、より高次の倍音を聴き取る感覚は活かされてきたはず、というか、きてます。

そこに、乖離というかジレンマが起き続けてるのだろうな、
というのがより適確な筆者感覚の説明かもしれません。
調律の歴史にも、リディアンクロマチック理論にも、です。

筆者は リディアンb7th をこそ原点としたほうが、感覚と一致した整理ができると思ってます。
それに基づいた「リディアンb7th クロマチック理論」については稿を改めて紹介しますね。

さて、話を戻します。
よく見かけるピタゴラス音律の説明で、いきなりイオニアンを挙げて、各音同士の周波数比率を見せるものがあるが、リディアンで例示すればよりシンプルになります。

現在の機能和声的音楽中心の視点からの説明をしようとすると、ついついイオニアンをモノサシにしたくなるのは解りますが、、

ピタゴラスの方法からまずリディアンを導き出して、
その第5モードとしてイオニアンを紹介すれば解りやすくなるでしょう。

上図の場合は、先ず Fリディアンを導き出し、
その第5モードとして Cイオニアンが在る、という見せ方。
(それぞれの説明法について、周波数比率など具体的に並べての比較はまた稿を改めますね)

純正律とは

ようやく本題らしいとこに辿り着きました。
お待たせしました m(_ _)m

簡単に言ってしまえば、
 ドレミファソラシド
に内在する三和音のうち、
 ドミソ、ファラド、ソシレ
の3つ、つまり主要三和音だけは、
 ド、ファ、ソ
それぞれを基音とする倍音列にかなった音程(=よくハモる音程)
に調整された音律ってこと。

主要三和音「だけは」とても綺麗に調和してハモるわけです。
ってことは、それ以外の三和音とか四和音には問題が起こりうるってことです。

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前編はここまでにしておきます。
ようやく本題に至ったところですが、だいぶ長くなってしまったので ^_^;
続きは近日中に書きますね。
オタノシミに(^^)/

*******
関連件は↓にも書いたので、お好きな方はどうぞ

\(^O^)/ 続編「その2」書けました \(^O^)/
 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

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