タンギングすると遅くなる…4つの理由

スラーで吹いてるとテンポに乗れるのに、
タンギングした途端にどんどん遅れちゃう。
初心者にありがちな出来事。
どうしたら改善できるでしょうか?
4つの理由を並べてみます。

_準備動作を意識できてない

理由その1。
発音の瞬間とは、舌がリードから離れた直後。
フルートや金管ならとどめていた呼気圧を解放した直後。
直後と書いたのは厳密には同時では無いから。
発音の為のタンギングでも、区切りの為のタンギングでも同じです。

タンギングの為の全動作は初めてから終えるまでに必ず時間はかかります。
リード楽器で、区切りの為のタンギングとすると…
 1)舌をリードに近づける
 2)触れる
 3)離す
3つの動作を同時にはできません。

どんどんテンポから遅れてしまう人は、
発音すべき時系列上の点で、1を行ってしまう特徴があります。
そのポイントで行うべきは3なので、それ以前に1と2は終えてる必要があるわけです。

打楽器奏者が
 1)スティックを上げる
 2)下げる
 3)打突する
3めがけて、それ以前に1と2を行うのと同じです。

_タンギングの質

理由その2。
サックスの場合、リードの「面」に舌を触れると離す動作に時間がかかります。
この問題は更に2つの観点 A B に分けられます。

A)
先端の「線」に触れていれば一瞬で離せます。
面に触れていると、舌は柔らかいものだから、触れている全体を同時に離すのは難しいからです。
しかも、もしそれを実現したとしたらスラッピー(バチンと打突音の起こる)なタンギングとなります。
もちろんその音が必要な場面ではワザとそれを行いますけど。

とはいえ、いずれにせよ、舌を触れてから離すまでにどうしても時間がかかってしまいます。
なので「一瞬の区切り」を作りたいはずなのに、大きなスキマが開いてしまいます。

「スキマ」が気になっている人は「面」で触れてないか確認してみましょう。

あるいは、ジワジワと離れる間、上手にハーフタンギングの発音が伴うなら、それはそれで特徴的なアーティキュレーションとして利用可能です。
デイヴィッド・サンボーンさんのタンギングはその点素晴らしい個性ですね。

とはいえ先ずはクリアにポンっと発音したいなら「線」に触れるのが一番簡単な方法です。

B)
面に触れるタンギングには起こりやすい弊害があります。
顎が上下方向の動揺を起こしやすい。
面に触れる動きは上下運動が主で、顎を「引き連れて」動かしてしまいやすいからです。

それが起こると…
舌をリードに触れようとすると顎が上がり、リードを噛み締めることになる。
噛み締めた状態ではリードは振動しづらくなる。
舌を離す動きをすると顎も下がりやすいが、舌を離した直後には充分に顎は下がってないので、リードはうまく振動しない。
つまり、舌が離れて「しばらくしてから」リードは充分な振動を始める。
音の頭がギュっと潰れた音色でピッチは上ずる。

そうなるのが判ってるから無意識に、舌を離すのと同時に急いで顎を開ける癖が付く。
すると逆に開けすぎて爆発的な発音と共に低めのピッチから鳴り始める。
その直後に顎を噛み締め直す。すると発音時のピッチ変動は「シャクリ上げ」となる。
そのような顎の動揺も「舌を触れる~離す」に時間がかかってスキマが開く原因になります。

シャクリ上げの発音が気になってる人は、タンギングに伴って顎が上下してないか確認してみましょう。

線に触れるタンギングを身に付ける為の考え方は↓に書きましたので御参照ください。

クラリネットだと、舌の上下・前後の動きと「面・線」の関係はサックスと少し変わります。その点も↑には書いてますので…。

ついでに、シャクリ上げについては↓

_リズム感

理由というか目標その3。
身体中のリズム感の適正化を図りましょう。
なにか音楽(テンポが一定の)をかけながら、或いはメトロノームやリズムマシンと一緒に練習します。
楽器は要りません。まずは4拍子がよいでしょう。

拍子に合わせてサイドステップを踏みましょう。
足の裏がパタンパタンと床に当たる音を、かけてる音楽のドラムの音あるいはメトのクリック音に一致させます。

サイドステップが巧く出来ない人は大抵、クリック音の瞬間に「準備動作を始め」るのが特徴です。
準備動作は文字通り準備なので、クリック音以前に始めなければステップはクリックに一致しません。

身体の大雑把な動きで準備動作の適正な時間割を体験すると、舌の準備動作の適正化にもよく反映します。

 
演奏中、リズムに合わせて首や上半身を前後に揺する人が居ます。
揺すっても全くかまいませんが、見ていると明らかに遅い人が結構居ます。
やはり、クリックのポイントで「前へ揺すり始め」てます。
身体の動きとしてはクリックポイントとして印象深く感じられるのは、前から後ろへの折り返し地点です。
揺すり始めが遅いからその点はあるべきポイントよりも必ず後ろになります。
結果的にその人の発音はどんどん後ろにズレていきます。
その動きは視覚的にもバンド全体に影響するので他のメンバーには強い意志が要求されます(笑

_指の動き終わりを待ってしまう

理由その4。
一つの音高で、区切りのタンギングをする分には遅れないのに、音高の移動が伴うと遅れたりタンギングを挿入できないのもよく見る症状ですね。

リズムの主人公は指ではなく舌ですよ!

この症状の原因は、指の「動き終わり」を舌が待ってしまうことです。
気の持ちよう1つで改善しやすいことです。
こんな↓改善方法を試してみましょう。

楽曲の小さな一節をメトロノームに合わせて、音高を変えずにタンギングでリズムだけを作りましょう。
次に、
その作業をもう1回やりながら(タンギングで作ってるリズムは絶対に変えずに)
間に合うように指を早めに「動かし始め」ましょう。

音高を変えるための運指動作も「動かす!」と思ってから「運指完了!」までに必ず時間がかかるからです。

音高の移動が伴うと遅れてしまう人の大半は、
「指が動き終わるのを待って」から舌をリードから離すのでスキマが開くし、発音自体が遅れてしまうのです。

曲のテンポがとっても遅くても、
 ・運指動作は素早く
 ・準備動作は早めに
がコツです。

もし、曲のテンポがとっても速くて間に合ってない場合は、ユ~~~~~ックリなテンポに落として、上記の練習をしつつテンポを上げていきましょう。

 
そうそう「楽譜が無いと演奏できない」と言う人の多くは、楽譜にカジリついて、書かれた音の高さと長さを再現するのに必死で、舌よりも指がリズムの主人公になりがち。
まずは、どんな音楽を作りたいか、そのイメージが大事です。

楽譜はただのメモ書きです。
そこから先ずは「読み取って」胸の内に音楽を鳴らしてから、それを再現するつもりで演奏を始めましょう。
そうすれば、舌がリズムの主人公になるかと。

音楽は言葉と同じ聴覚のコミュニケーションですから、喋るように演奏できるようになりたいですね。

_というわけですが…

リズムについても「結果的にどんな音楽を実現したいか」のイメージを持つのが大切です。
それが明瞭で具体的ならば、そこに近づけるべく工夫すればよいだけです。
結果のイメージが無ければ、楽譜通りに音の高さと長さだけを機械的に再現しても音楽にはなりませんので。

お手本になるような演奏を何遍でも聴き、一緒に口ずさめるようにするのが実は一番の練習法かもしれませんね。

よい演奏を目指して一緒に頑張りましょう♪

 

アマゾンを「タンギング」で検索したら何故か出て来たこのアルバム。
ワールド・サキソフォン4tet、これ大好き!
ジャケットどおり、地下鉄のホームでストリートパフォーマンスしてるって調子の音がダラリと響く↓バリトンのハミエット・ブリューイット、まだな人は是非聴いてほしいな♪

と、これ↓も出て来た。師匠っ、笑顔が、、は、はい、素敵ですわわよっ

↑なに書いてあるんだろな、、持ってる人教えておくれ〜

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