アドリブ…本当の入口って?_その1「エニーキーって壁」の越え方

「誰でもできる(^^)v」
そこから始めないと意味が無いと思ってます。

解る&出来る、から始まらないとその先も無いから。
その本当の入口ってどこかな?っていつも考えてます。

最近 Chad.LB って人のPDF教材シリーズなかなかイイ感じで要注目。
ですけど「本当の入口」をクリアしてないとトッツキにくいのも確か。
せっかくの佳い教材を使える人になろうよ、ってつもりでもあり。

正月早々
「エニーキーで!ってのが難しい」
生徒からシンプルかつ難題が湧きやがりまして、
一年の計なりでちゃんと考えてみました。

そうそう、そこなのよね。
アメリカ音楽でのインプロヴィションにトライしようとすると大抵最初の壁。

気に入ったフレーズならエニーキーで演奏できなきゃね、って奴。それね、
より簡単なフレーズから練習してかないと出来るわけないのね。つまり、
「ただの音階」それも「たった2音」から始めるのが一番簡単で効果的。

アドリブ、ね、世界中のあらゆるスタイル・時代感…の音楽の上で考えてよいんだけど、
とりあえず、ブルーズ~ジャズありきで存在する現代ポピュラー音楽(ざっくり言ってアメリカ音楽)上で、って限定して話を進めますね。

ハノンってさ…機械的にでなく有機的・音楽的に

正月早々の難題は鍵盤弾きな生徒からの問いかけでした。

ピアノで必須の「ハノン」って教本がありますね。
あれってハ長調でしか書いてない機械的運指作業特訓本、、と思われがちな1冊。
こんなのから始まる…

でもね、
 ・和声との関わりを感じたり、和声付けしたりしつつ
 ・もちろんエニーキーで
とかいった使い方をすれば、音楽とテクニックが有機的に結びつくんでしょね。
例えば…

その点こういった本(原典ハノンのフレーズをそのまま使ってるわけではなさそうだが)は佳きトライかと↓(もはや「ハノン」ってコウイウレンシュウってな普通名詞として使われるみたいですね)

ともあれハノンを、書いてある通りハ長調でやるだけだと、本当に機械的作業訓練にしかならない。
使い方の工夫次第で音楽に近づけるか否かの差が大きい、の好例なのでしょう。

フレット付弦楽器って羨ましい

ギターとかエレキベースのこと。

鍵盤楽器ってキーが変わると運指も変わりますよね。
管楽器も全てそう。
たとえば「ドレミの歌」をエニーキーでやろうとすると、
同じメロディーなのに全て違った作業になるわけ。
つまり、気持と作業の一致、それを12種類備えなきゃいけない。

でも、弦楽器って(フレットがあろうがなかろうが)、
あるポジション(ある範囲の4〜6フレットといった範囲)で、
音階やコードを掴める運指作業の組み合わせを何通りか覚えれば、
それを平行移動するだけで、どのキーにでも行ける。
そこが羨ましい。
作業の形と音楽の気持とのリンクが、キーが変わっても変わりにくいから。

おまけに、鍵盤とフレット付弦楽器は、まともな音程で演奏するのに悩みは無い。
そこも管楽器チームからすれば猛烈に羨ましい。

作業の違いを乗り越えて、音と気持をリンクさせること

ともあれ目の前の課題は、
キーによる作業の違いを当たり前のこととして、
どのキーでも平等に気持と音とのリンクを実現すること
なのでしょう。

どんなプロセスを経ればそれを実現できるかを考えて行きます。

先ずは機能和声的音楽の直感的把握と作業へのリンク

一口にアメリカ音楽と言ってもその「和声的基盤」にはザックリ分けても何通りかあります。
どんな理屈で
 ・和声の姿
 ・和声の進み方
 ・旋律との関わり方
…があるか、ってこと。

歴史的に深いところから掘り始めるのがスジ、とは思うが、
汎用性と既聴感の多さからして、
 トニック・ドミナント・サブドミナント
といった機能が明瞭で、それらの旋律との関わりを理屈で掴みやすい、機能和声的音楽の環境から始める、
そののちに、
ブルーズ的なものを掘りなおして、それをモーダル(旋法的)なものに活かしていく。
って順番が妥当だろうと思ってます。

(あ、この数行の説明、雑でスミマセン、理解できた気がしなくても気にせずお先へドウゾm(_ _)m )

そこで…

ツーファイブワンから始めよう、スタンダード曲とは

251、
長調 or 短調の Ⅱ度→Ⅴ度→Ⅰ度 ってコード進行のこと。
ハ長調/ハ短調だと…

…みたいな奴。
その登場の仕方次第で、調性だけでなく転調や転旋(≈モーダルインタチェンジ)など読み取れたりするわけね。

 (あ、図版の赤い玉は気にしないで! 作譜ソフトの「低すぎるよ!表示機能」をソノママにしてしまっただけですm(_ _)m )

いわゆるスタンダードナンバー(ジャズの歴史上、セッションで題材としてよく使われる曲達)に最も頻出な進行パターン。

スタンダード曲って元々は、
蓄音機がお茶の間に広まる以前な19世紀末、楽譜が音楽の商業的流通の主力商品だった時代、
マンハッタンのティンパンアリー
(楽譜のサンプル演奏が昼夜なく行われ鍋釜を叩いてるように賑やかだった28丁目6番街あたり、直訳は錫鍋小路・ドンチャン横丁)
に沢山あった楽譜屋の書棚、その一部に「定番商品」コーナーがあり、そこに並んだロングセラーなヒット曲をスタンダードって呼んだそうで。
主にブロードウェイ・ミュージカルの曲が多かった。
ジョージ・ガーシュインも若い頃そこでピアニストとしてサンプル演奏をしてたそうで。
レコード盤の値段がこなれるにつれて試演の需要は減ったがスタンダードって呼び方は残った。
それ以降現代もロングセラーなヒット曲を Standard tunes と呼び慣わしてる。
そんな言葉。

そんなスタンダードな曲達の和声進行で最頻出なカタチ、それがツーファイブワン。
つまり、そこでの
 ・作旋律のスキルアップ
 ・言葉数を増やし
 ・演奏上での困難をクリア
…でアメリカ音楽でのアドリブ会話がグッと身近になるってこと。

ツーファイブワン、それはつまり機能和声に於ける
 ザブドミナント・ドミナント・トニック
ってコード進行のこと。

サブドミナントコードのとこで、クラシック音楽ではそのキーの Ⅳ度を使うのがオーセンティックな姿だが、アメリカ音楽では Ⅱ度をベースにするのこそ多用されたのが特徴。

…と普通は説明されますが、
原曲譜面にあたると Ⅳ度として書かれてるのも多く、後の時代にジャズマンがセッションの際に Ⅱ度を使うのを一般化していった、のが実際なのでしょう。
4度上行進行の「進む強さの連続」が理由と思ってます。

というわけで、そこでの喋り方から始めましょう。

技術的にも聴感(ソルフェージュ)的にも
「誰でもできる(^^)v」
ってとこから始めます。

本当に簡単なメロディーから始めるんで、
楽器だけでなく声でも歌ってみるのをオススメします。
音楽に近づく最短ルートを作ってくれます。
願わくば「階名唱」が、のちの便利になるはずです。

 ※「音名と階名の違い」の詳細は↓

 ※ 階名唱の身に付け方は↓

『なりましょハナウタ美人!_大人ソルフェシリーズ入門編』
 http://bit.ly/KT_hanautabijin

『大人が始めるソルフェージュ_大人ソルフェシリーズ2基礎技術編』
 http://bit.ly/KT_otona-solfege

さて、
12キー全部書き出すと目が疲れるんで例示は
 ハ長調、ヘ長調、
までに留めときます。
全キーへの移調法を別に学んでから挑んでくださいませ。

ツーファイブを見たらナニを連想するか…

あ、実践に入る前に解っておくとよいこと。
1セットな3つのコードネームを目にしたとき、ナニを想像できるとよいもんなのか。
例えば…

なんてのが目に入ったら、

1)
最初の内は、ドミナントの解決先の「C6」を見て
「あ~ Cメイジャーなのね」
と思えばよし。

2)
そのうち「Dm7 G7」だけを見て、
「C のキーに向かいたいんだな、C のメイジャーな可能性が濃いな、マイナーだと○○○とか△△△とかって意図かな、、トニックの代理和音なら×××とか□□□とか、サブドミ系に偽終止するなら、、、突然の遠い転調なら、、、ま、いずれにせよこの小節は Cメイジャーでイオニアン一発か、ドミナントのとこはオルタードするか、サブドミのとこからブルーズかましてくか、ソコはアウトしといてドミナントで戻すか、徐々に戻してくか、、いっそ Gリディアンb7 で通してサブドミのとこでヤバいブルーズ感を出してみるか、、Dのブルーズ一発でいくか、、てか、トニックが後続しないなら、、」
…などなど連想するようになります。

3)
慣れてきたら「D-7」だけを見て、
「CメイジャーのⅡ度のDドリアンだな 最大の可能性は…、ならば調性はCメイジャーで、ドミナントのとこはCメイジャーにインナーなミクソリディアンのままにしようかオルタードにしようか、どの深さのオルタレイションにしようか、H-Wディミニッシュト(通称和名コンディミ)もありか、、トニックはそのままイオニアンか、リディアンにするか、ブルージーな音遣いをしようか…」

とか
「テンポが速いからサブドミには拘らず 2-5 は纏めてドミナントってことで音階を選んどくか」
…などと思えるようになれば尚よし。

で、
「実は Fメイジャーの Ⅵ度の Dエオリアンかも、Bbメイジャーの Ⅲ度の Dフリジアンかも、あるいは、、、、かもかも」
って思えるようにもなります。
そのスキルはモーダルな演奏を目指す時にチカラになってきます。

次に短調だと…

…なんてのを見れば、ま、メイジャーと同様な妄想を繰り広げるわけですが、
短調に独特なのは
「長調の 251 みたく、先ずは1つの音階で通せる」
わけではない
ってこと。

「Dø は CナチュラルマイナーのⅡ度な Dロクリアン、
 G7(b9) は CハーモニックマイナーのⅤ度な Gミクソリディアン b2 b6、
 C-6 は Cメロディックマイナーあるいはドリアンか
…」
って「マイナーだからこそな前提的な発想」は必要になります。

もちろんメイジャーと同様、
サブドミには拘らず 2-5 をドミナントとして通したりはOKなわけですが。

もちろんスキルが上がれば、ドミナントを大意での「不協和」と捉えて、トーナル(調性)からアウトしようが、より自由な音遣いもOK。
ブルーズ的表現を究めようとするとまた違ったタイプの自由も広がります。
メイジャー・マイナー問わずに。

サブドミでもトニックでも「その中で」の
 ・「不協和⇔協和」の行き来
あるいは
 ・「ブルーズの実現」
を意図して、より自由な音遣いも有り得ます。

(以下は、すぐに解らなくてもよいけど…って妄想の拡がりです)

さて、例えば、
一旦「あぁCメイジャーだな」と感じたのちに…

…なんてのが出てきたら、
「あ、Ⅰ度ではないダイアトニックコードに解決を望むドミナント、つまりセカンダリードミナントのツーファイブだな。その転調は一時的かな、持続するかな?」
とかって思います。
で、

…なんてのが湧いたら、
「可能性は先ず2つ。ダブルファンクションの代表選手だな。
 ・♭Ⅲ度のキーへの転調(セカンダリではない遠い転調)
か、
 ・Ⅰ度マイナー系へのモーダルインターチェンジ
かな、、それとも、、」
など考えます。

ってことは…

…なんてのもⅠ度マイナーへのモーダルインターチェンジ(同主調和音借用一時転調_筆者訳)なわけですね。

ちょっと寄り道、
ちなみにブルーズの原始的なカタチ。

2段目で4度上にノボルのがブルーズの大切な特徴なわけですが、それも
 「4度ノボル」
ではなくて、
 「同主調のメイジャーからマイナーに転旋する」
って捉え方をすると喚起される旋律も変化するでしょう。

するってぇと、

「1段目が Cミクソリディアンだとすれば、
 2段目前半は Cドリアン、後半は↑に戻って、
 3段目アタマは Cイオニアン、からのドリアンでミクソ」

ってことは、ペンタで行くなら、
「1段目は Cメイジャペンタ、
 2段目前半は Cマイナペンタで、後半はメイジャ、
 3段目はメイジャからマイナでまたメイジャあるいはブルーズな」
って捉え方もできるわけです。

寄り道オワリ。

さて、
ここまでで、ツーファイブにはザックリ2種類あるのが判りますね。
 ・メイジャートニックへの解決が期待されるもの
 ・マイナートニックへの…
その期待に反する解決(前者にマイナートニックが後続したり、その逆)もあり得ます。

マイナーっぽいドミナントからメイジャーに解決するのは、クラシカルには「ピカルディ終止」などと呼ばれますね。
昔の西欧の人達は、教会の天井から天使が舞い降りるように感じた、のでしょうか?(筆者妄想)

その逆は特に名付けられてはいませんが、
単にガッカリ感を狙う場合もあれば、
長2度下あるいは短3度上、もしくは長3度下への転調を意図することもありますね。

で、メイジャー・マイナーいずれでも「Csus4」系のコードに後続されることもよくあります。
クラシカルには単に「係留和音」とか「遅延解決 delayed resolusion の予兆」などと扱われますが、現代の音楽では、
特に、マイナーなドミナントから後続する場合、
「なぜかメイジャーな響きを暗に感じるので、ウッスラとピカルディな効果」
を意図することも多いみたいです。
アース・ウインド・アンド・ファイアの「宇宙のファンタジー fantasy」 (←Youtube公式音源へのリンク)での用例が判りやすいでしょう。
倍音の仕組みが生むミラクルだと筆者は理解してます。

そんなことや、ここまで紹介した諸々の組み合わせで、転調・転旋の様子ヴァリエーションは様々に広がります。
もちろんそういった要素は他にも沢山あります。

今ここでは、これくらいに触れておくのが丁度よいでしょう。
この程度の理解が、ブルーズを深めたりモーダルな話し方にも、やがて繋がってくるはずです。

「誰でも出来る(^^)v 」ってこんな事、かな?

お待たせしました。実践例を例示しますね。

ネライは、
 いずれのキーでも構成音の想起と実演技術上の平等性を得る
ってことなんで、
 ・ガイドトーン想起の練習
 ・主音以外からの旋律始動
といった練習要素に囚われないようにします。

長調の主音から始め、たった1音ずつから少しずつ音数を増やします。
後半では開始音をトニック(do)以外からも。

短調だと、
 サブドミ_ C ナチュラルマイナー
 ドミナント_ C ハーモニックマイナー
 トニック_ C メロディックマイナー
って基礎的な転旋は活かすことにして、長調と同じ動きを適用してみると…

本稿は、長短調12キーでの運指技術と構成音想起の平等性を目的とするので、この程度にしておきます。

それ以上に、和声との関わり合いに視点を置いた練習としては、
ガイドトーンラインに着目した↓を御参照ください。

短調で階名を書かなかったのは、
短調でも主音を「do」と読むか否か、の話を書くのが面倒だからです。
その件はまた別にゆっくり書くつもりです。
けど、軽くなら↓を御参照ください。

レッスンメモってね…

こんな風にレッスンの事後メモとか事前予告をブログに書いてますけど、、
見た目で伝わることは限られてます。

ここの記事を見て「ふむふむなるほどね~」って思える人は、もとよりレッスンなんて来なくても自分で研究と練習を進められる人です。

「なんじゃこりゃ?」って思った人は、そう思わない人と比べれば、断然レッスンに来てくれれば愉しめることが色々起きるはずです。
お問い合わせはコメント欄に気兼ねなくどうぞ (^o^)

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続編はコチラ↓今回練習の短調版の追補改良版も載せました。

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ところで、
宮前幸弘さんの「あきない!ハノン」ってシリーズで色々あるみたい…
↓CD付

応用編

強化編

アルペジオとアヴェイラブルノートスケールに、より特化

左手強化編

コード強化編

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