オルタードスケール と仲良くしたい、な、と…

※※※ えっと、最初っからトッツキニクイ譜面ドバっと出てきますが、ちょっと先進むと「なんだ簡単じゃん」ってオチになるんで気絶せずに読み進めてみてくださいませ m(_ _)m ※※※
 

ジャズというかアメリカ音楽の上でアドリブ、つまり旋律作りをしようとすると避けて通れないオルタードスケール。
ブルーズフィーリングを突き詰めていった果ての実用的音階として認知されてるソレ。
とはいえ、
そこでの旋律作りって、直感的にも楽器操作的にも慣れにくい人は少なくないかと。

「こういうフレーズを使えば」っていうストックを「当てはめ」れば確かにそう聞こえる。
けど、それはどうも借り物っぽくてイヤ、もっと自由に旋律を編みたい、となると、どうすべぇか、、

最近こんな練習してるってメモ書きです。
何十年も無頓着にしてたことにトライ中♪

旋律を思いつきやすい音階に置き換える

分数の計算で言うところの約分みたいな発想です。
構成音は同じだが、旋律の中心音を変えるわけです。
それだけで旋律を思いつきやすくなる可能性があるので。

コードで言う所のアッパストラクチャみたいな発想で、微妙に色彩感は変わりますが、旋律がコードにハマってる感じは維持されます。

オルタードスケールって、構成音の形としては、
「メロディックマイナーの第7モード」
つまり、第7音を主音とするメロディックマイナーの転回形と言えます。

メロディックマイナーの転回形って、、、

第1_メロディックマイナー
第2_フリジアンドリアン
第3_リディアンオーギュメンティド
第4_リディアン♭7th
第5_ミクソリディアン♭6th =ヒンズースケール
第6_ロクリアン♮2nd
第7_オルタード

それらのうち「自分にとって旋律を思いつき易いもの」を選んで、
コードネームとの相互関係をいつでも引っ張り出せるようにしとけば佳きかと。

具体的には例えば…
G7alt ってコードネームを見たら、

G# Melodic minor
A# phrygian dorian
B  Lydian Augumented
Db Lydian b7
Eb Mixolydian b6 (Hindu scale)
F  locrian ♮2
G. altered

の内いずれか得意な、或いはその時に便利な奴を思い浮かべてメロディを作れば…ってこと。

ね、↑の7段、どれも構成音は同じですよね?

とはいえ、主音を思い変えるだけで、旋律の思いつきやすさは変わります。
もちろん、どの音階を選ぶかによって結果の旋律の「色合い」も変わります。

Mixolydian b6 とか Lydian b7 とかだとメイジャースケールに近いので、
大抵の人にとって旋律を思いつきやすいでしょう。
それら音階でメロディーを作ってみるのが練習の第1歩かと。

具体的には、

G7 って響きの上で、Eb Mixolydian b6 あるいは Db Lydian b7 のつもりで旋律作りをダラダラと繰り返すのが第1歩ってことです。
勿論その練習を12キーで行うわけです。

ツーファイブに応用。まずはマイナーから

次に、よくあるコード進行の上で「第1歩」を如何に応用するかを考えます。

コードと音階の関係にまつわる思いつきの実用化には、
とりあえず「ツーファイブワン」の練習に適用してみると、
その後の応用が効きやすくなります。

先ずメイジャーの 251 で馴染んでからマイナーに応用するってのが大抵の段取りです。
が、
ドミナントコードにオルタードスケールを適用する、って目的に限っては、
「先ずはマイナーから」
が楽珍なようです。

なぜならば、、、

オルタードの練習がメイジャーだと始めにくい理由

メイジャーの 251 は、原始的には、

サブドミナント(Ⅱm7)~ドミナント(Ⅴ7)~トニック(Ⅰ)

を通して「1つの音階」でイケちゃいます。

キーを C とすると…

上の3つの音階、構成音はどれも同じですね。

↑の譜例で言えば「Cメロディックメイジャーの中の音」で全部イケちゃうわけ。
「臨時記号が無い」=中の音だけでイケちゃう、と思ってよいです、メロディックメイジャーの場合は。

「原始的には」と書いたのは、それ以外の音階選択の可能性は無数にあるけど、ってことです。

ドミナントのとこにオルタードスケールを適用しようとすると、
その前後と比べてそこだけ「5つの音を半音下げる」って操作が要ります。

楽器操作的には壁が高いし、
スムーズに繋がる旋律をイメージするのを難しくする「響きのギャップ」が大きい。

では、マイナーだとどうでしょうか?

ナチュラルマイナー(Ⅰm)とオルタード(Ⅴ7alt)を並べると
「半音下げるのは2箇所だけ」
です。
(↓比較しやすいようⅠm は1オクターブ半書きました)

7音のうち2音を変えるだけでオルタードスケールが見つかります。
楽器操作的にも、旋律をスムーズに繋げるのも楽です。

ナチュラルマイナーは平行調(relative key)のメロディックメイジャーと同じく
「調号どおり」の音階です。
なので「変えるのは2箇所だけ」だとインクの節約になります。

比べる相手がハーモニックマイナーなら変更は3箇所、
メロディックマイナーでも4箇所。
いずれもメイジャーよりは少ないわけ。

と、もう1つの楽珍な理由は、、、

マイナーの 251 はイチイチ切替が不可欠

マイナーの 251 は、もともと
「忙しく音階を切り替えるのが不可欠」
だからです。

どうせ忙しいのが当たり前なんだから、ってこと。

メイジャーだと1つの音階で 251 イケちゃえます。
が、マイナーでは無理です。

2と5と1と、どれも違う音階を使う必要があるってことです。

キーを C として、
最も原始的というか古典的な方法だと…

サブドミナントの Dm7(b5)
 _ Cナチュラルマイナーの第2モードの Dロクリアン

ドミナントの G7(b9)
 _ Cハーモニックマイナーの第5モードの Gミクソリディアンb2b6 (= Hmp5)

トニックの Cm
 _ Cメロディックマイナー

…と、3つの音階を乗り換える必要があります。

もちろん
「各機能の響きをキチンと旋律で示そうとするなら」
ですけどね。

大雑把にするなら、なんとなくマイナーイッパツで、とかでやっちゃってもいいわけで。

ちなみに、
原始的な…以外の音階選択可能性は↓に具体的列挙をしました。
ほぼ全ての可能性を挙げたつもり。
ご興味ある方は覗いてみてください。

『明解!ツーファイブで使える音階 ~ブルーズの謎を解く~』
 http://bit.ly/KT_blues_251

それら無数の音階選択可能性のうち
「この組み合わせに慣れとくと最も実用的なんじゃないか」
ってのを例に説明を続けます。

なるたけ楽珍な音階同士をつなげる

マイナーの 251 で話を進めます。

Cキーだと最も原始的な進行は…
 Dm7(b5)   G7(b9)   Cm
それにフィットする原始的音階選択は上述のとおり。

モダンな語法で「とりあえずコレを身につけとこう」と思える代表として、
 Dm7(b5) _ Dロクリアン♮2
 G7 _ Gオルタード
 Cm _ Cメロディックマイナー
をネタにしましょう。

それを譜面に書くと普通は…

…となりますね。

でも、その見た目だと旋律作りの際、
コードごとに分断された途切れ途切れの発想に繋がりやすい。

そこで、

・構成音は同じだが、3つの音階の主音を1ヶ所に揃えて、発想を横向きに繋げやすくする。(「1ヶ所」=五線譜上の「玉の位置」は同じってこと。臨時記号で半音ズレるのはアリとして)

・かつ、各音階が、旋律を思いつきやすいような形のもの(転回形)を選ぶ。

その2条件を満たすものとして…
 Dm7(b5) _ E オルタード
 G7 _ Ebミクソリディアンb6
 Cm _ Ebリディアンオーギュメンティド
をここでは選んで話を進めます。

E オルタードは Dロクリアン♮2 と、
Ebミクソリディアンb6 は Gオルタードと、
Ebリディアンオーギュメンティド は Cメロディックマイナーと構成音が同じです。

↑と↓の譜面を見比べて確かめましょう。

この3つはどれも『メロディックマイナーの転回形』なのですな。

つまり、それとエニーキーで仲良くし、
コードとの色んな関係を把握すると、
自由度がグっと高まるってことですね。

マイナーでできればメイジャーにも即応用

マイナーの 251 の 5 で使える旋律はソノママ、
同主調(Parallel key ※英語と日本語はチグハグ、平行調は Relative key)のメイジャーの同箇所で活かせます。

オルタードスケールの練習はマイナーでやった方が掴みやすいので、先ずマイナーで操作とキコエに慣れておけば、それをメイジャーに置き換えるって順番が楽珍かと。

その実作業の様子は↓で具体的に見えるかと
『明解!ツーファイブで使える音階 ~ブルーズの謎を解く~』
 http://bit.ly/KT_blues_251

『コードネーム見たら音階ゾロリ・第1巻』
 http://bit.ly/KT_Zorori

音階を切り替える練習

まずは基礎準備として↓を迷い無くできるようにしましょう。
もちろんエニーキー(12キー全て)で。

つまり、Ebメロディックメイジャーを掴めてれば、1音か2音を半音上げたり下げたりすりゃ、この音階になりまっせ、てこと。

全キーに一般化した言い方をするなら、
『目指すトニックマイナーの短3度を主音とするメロディックメイジャーを先ずイメージし、
その1度を半音上げれば Ⅱø 、6と7を半音下げれば Ⅴ7alt 、4と5を半音上げれば Ⅰm にフィットする音階になる』
ってこと。

次に、こんな伴奏の上で…

こんなことをしてみましょう。
ちょっとずつ難しくしてきます。
あ、最初の2小節は休んで待って3小節目から始めます。

モチーフとその展開

モチーフとは、
「旋律の材料となる最小単位。たった数音からなる特徴的な音高遷移とリズムのアイディア」
のことです。

例えばこんなもの。ここでは Eb メイジャーでの例を挙げます。

これを「素のモチーフ1&2」として以下の話を進めます。

モチーフは、ある音階の中で「位置(高さ)」を変えたりして使い続けることで、楽曲やアドリブ旋律に統一感(作品感)を持たせられます。
たとえば…

そういった変化を「モチーフの展開」と呼びます。
展開法には高さを変えるだけでなく、
 ・上下反転
 ・前後逆行
 ・反転&逆行
 ・リズム(音価)の倍化や半化
…などなどもありますが、本稿では高さの変更のみを興味の対象にしときます。

モチーフを音階にフィットさせる練習

先ほどの Ebメイジャーでのモチーフを
「玉の位置を変えずに」↓の各音階にフィットさせてみましょう。

Dm7(b5) _ E オルタード
G7 _ Ebミクソリディアンb6
Cm _ Ebリディアンオーギュメンティド

今度は、モチーフの形はそのままに、高さを変える展開を、音階変化にフィットさせつつ行います。

このタイプの展開練習、実は、
原始的な音階選びで行うとアヴォイドノートの都合で、ところどころ落ち着きの悪い箇所が生まれます。
けど、今使ってるモダンな音階選びだとその心配はありません。

本当はコードスケールなんて気にせずとも…

キーに対して or その時のコードに対して、
12音のうちのある1音が、
 ・どんな色彩で、
 ・どのように振る舞うか、
を把握して整理できてれば
コードスケール(あるコードにフィットする音階)なんて考え方をせずとも、12音全てを旋律の材料にできるはずです。

けど、
ずっと12音と付き合い続けるのは結構しんどいので、
 7音とか6音、5音、4音
といった「これでいんじゃね?」って絞り方を予めしておく、
ってのがコードスケールって考え方なのかと。

と、
5音とか4音だと、7音よりも
より明瞭で強い個性を引き出せたりします。
アッパストラクチャとしてブツけた時の効果も強い。

、、、そこら辺の話はまた稿を改めて、、、

違和感なく繋げる音:違いを示す音、転調・転旋・転均

 ・転調(主音音高の切替。旋法がいずれであれ)や、
 ・転旋(主音変わらず旋法の切替)や、
 ・転均(調号の切替)や、
 ・転種(第○モードであるかの切替)
などを起こす時、旋律作りにて留意しとくと佳いだろうこと。

切替前後の2つの音階で、
 ・共通な音高
 ・変化する音高

前者を積極的に使い続けると、
その時にコードも切り替わってるとしても、
旋律が、ショックなくスムーズに時を繋げて進めてくれます。

後者だと、
コード切替の色彩変化を、旋律だけでも表現できます。
無伴奏でもコードチェンジを示せるとも言えます。
あるいは、
コードが変わらずとも「転○」を表現できます。

例えば、Eb のブルーズの最初の2小節で…

つまり、251 で音階を切り替える際にも
↑みたいなケアを応用すると、結果の刺激の強弱をコントロールできるんだろうなってことです。

臨時記号の意味

この点も理解しておくと本稿練習の助けになるかと。

ある楽曲の、あるいは、その内のある部分の、
旋律/和声 を構成する核となる音列が旋律的長音階(=いわゆる長音階)な限り、
& 調号が適切につけられてる限り、
臨時記号が現れるとそれは必ず「転○」を示します。

1~数小節に亘る「一時的な転○」は、そう理解しやすいですね。

半音階的な椅音・刺繍音・経過音といった修飾音も「一瞬の転○」に他なりません。

ただし、
旋律的短音階・和声的短音階・和声的長音階
それら自体と、それらに内在する諸モードも
旋律/和声 を構成する核となる音階ですが、
五線譜と調号の仕組ゆえに臨時記号が不可欠です。
その場合は、臨時記号があっても転○を示唆するものではない、との読み取りが必要です。

もちろん、
楽曲全体の核が「ある旋律的長音階」で、一時的に平行調の旋律的短音階・和声的短音階・和声的長音階に変わる場合なら、その臨時記号は転○を示してるわけです。

旋律的長音階に内在する諸モードであっても、
五線譜上での表記法によっても臨時記号の見え方は変わります。
例えば…

モードと調号の表記法

たとえば、
旋律的長音階の第4モード=リディアンを記譜する時、
素の長音階がCメイジャーだとすると、
 ・無調号(=Cメイジャーの第4モードとして)書く、
 ・主音が F なんだから調号は♭1つと書く、
って2つの可能性があります。

後者だと、その第4音は、ほぼ常に♮が付けられます。
その♮は
「臨時記号だけど転○は示してない」
わけです。

 ・素の均の調号で書く_①
or
 ・主音を明示しやすい調号で書く_②
ってことですね。
リディアン以外の諸モードでも同様です。

②は更に、
 ・メイジャーかマイナーかで調号を選ぶ_②-1
 ・とにかく主音がナニかで選ぶ_②-2
の2方式があり、それ次第で選ぶ調号も変わります。

↓の譜例に、C調の旋律的長音階に内在する諸モードを各方式の調号で網羅してみますね。

①の読み方は機能和声的(コーダル)
②-2 は旋法的(モーダル)
②-1 はその中間と言えるでしょう。

移動ド唱法の人なら、各均の主音をドとして(上記譜例に添え書きした通り)読み替え練習をしてみましょう。

移動ド唱法との関わり

移動ドの人ならもうお気づきのことかと…。

何種類かの「読み方」を行き来できるようにすると猛烈に楽珍便利。
で、バークリー式の「マイナーな音階でも主音はド」方式を使うと更に!

その話はまた深いんで稿を改めていつか書きます。

…というわけで、

こんな練習やってみると、、
半年後には活かせるようになってるのではないかな?(^_^;
と希望を持ちつつ日々頑張りましょ~♫

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