真ん中の C# って力なくスカスカした音になりがちですよね。
上ずりやすくもありますね。
ソノリテを練習しててもそこでズッコケて挫折しがち。
深い音色に向かう為にしてる練習をメモ書きします。
筆者はまだまだ初心者ですがコロナ禍のおかげで練習時間を増やせて、上達のコツを実感できてる最中です。
いちおう笛の師匠にも相談した結果、大丈夫そうな話を書きますね。
より鳴らしにくい音を活用
筆者は1日の最初を頭部管だけのウォーミングアップから始めます。
その後にこの練習をします。
けど、先に紹介しときます。
本体に頭部管を付けたら最初になにげなく真ん中の C# を鳴らすのが習慣です。
調子の良し悪しがよく判るので。
カスレ気味で、響きの乏しい音となりやすい。その途端に打ちひしがれます。
ですが、そこから早めに立ち直るコツはあります。
右手に2つあるトリルキー。左を L、右を R と呼ぶことにします。
C# つまり全開状態(右手小指は押します=D# の音孔は開く)
に L を押し足すと、かなり高めの D、更に R を足すと Eb が鳴ります。
Lを空けると半音より少し高くなります。
Rは半音ほどは上がりません。
それらを巧く曲げて、まともな音程の D と Eb を目指します。
つまり、Lを押した時には低めを狙います。
次にRを足した時は、そのままだと低めになるので少し上げる操作をします。
それを行ったり来たり繰りかえします。
すると アラ不思議、C# が纏まった掴み所のある響きとなります。
開放の C# よりも鳴らしにくい音を、とにかく鳴らすことで C# をより簡単に鳴らせるようになるみたいです。
アンブシュア操作の柔軟性が高まるので、この体験をする以前よりは C# の鳴らし方に、より大胆なトライもしやすくなるようです。
「口の中は広く保つとよい」と一般的に言われますが、アンブシュアは1音ごとに変わります。
フルートのアンブシュアの構成要素は、
・アパチュアのサイズと形状
・上下の歯の距離と前後関係
・上下唇に、どんな方向へどれだけの力を加えるか
・呼気の歌口に対する向き&当てる位置と呼気圧とのバランス
・口腔内の容積&形状と呼気圧のバランス
…が主なものでしょう。
特にこの、真ん中の C# とその下の幾つかの音では、単に「広く」ではないケアが有効と感じます。
ですが、
体格は人それぞれなので、佳き結果に至る為の意識と操作もそれぞれです。
各自が試行錯誤して見つけるしかないでしょう。
口腔内の…についての「操作」は主に舌で行われます。
「オアエイ」の母音変化に伴う舌の形状変化がヒントになります。
舌根あたりの上下位置(喉仏の上下位置として感知しやすい)も音質に影響するようです。
とにかく試行錯誤が要りますが、LRを使った練習パターンは効率良く辿り着くヒントになるようです。
とはいえ、初心者がアンブシュアにまつわる口輪筋の強度・持続力・操作性を充分に得るには必ず時間がかかります。
今すぐに思わしい結果を得られなくても絶望せず毎日続けましょう。
昨日よりもベターな C# を得られたら、そこを起点に半音階で下に向かって慎重に音色と響きを「より豊かにするように」繋げていきましょう。
G → F# が最初の「音色の壁」ですね。
そこも C# をうまく鳴らせた感覚を活かして段差を埋めましょう。
そこから下に向かっては呼気を散らかさないように、巧妙に音色の芯を見つけていきましょう。
それが巧くいくと、いわゆるソノリテの練習を無理なく始められます。
ソノリテを効率的にするコツについてはまた稿を改めますね。
さて、この練習の前に頭部管のみでのウォーミングアップをしておくと、試行錯誤を大胆にする自由度が拡がるみたいです。
※ちなみに…※
下の F# を響かせにくいのは
「開いた穴のちょっと下でまたすぐ閉じてる穴があるから」
とよく耳にします。
ん〜、、間違ってると思います。なぜなら、、
F# とするために右薬指を押すと下がるキーカップ、それを右人差し指をヨイショっと左側に伸ばして「単独で押す(薬指キーを閉じずにってこと)」と当然 F# が鳴ります。
通常運指の音質と比較しますると殆ど変わりません。
ってことは、、、ですよね?
そこも管体設計の弱点で倍音列のインハーモニシティのせいで響きが希薄となるポイントなのでしょう。
…の前に、C#が鳴りにくいのってさ…
「もっとも短いとこで響く場所が少ないから」
ってよく耳にします。けどね、じゃ、
頭部管だけだともっと鳴らしにくいはずじゃないですか。
「短い」が原因ではないと思いますよ。
色々と研究した結果、
・倍音の含まれる割合
・倍音のインハーモニシティ
が主な原因みたいです。
C# の音を出すだけが目的なら、その長さに管を切ればいい。
切っちゃうともうフルートにならないんで (^_^;
その先に要らない邪魔な部品がブラ下がってる、それが悪さをしてる、と思うとイメージしやすいですよね?
その影響を受けやすい音が何カ所かどうしても存在してしまうようです。
クラリネットのスロート音域、サックスの C#(記譜)
も同じ事情なようです。
フルートの低い F# が鳴らしにくいのも↑の注釈に書いたとおり。
中音域の下半分が当てにくいのは、その音自身よりも、より上と下の倍音の方が、より鳴らしやすいような倍音の含み方傾向のせいみたいです。
その点の科学的な観察結果はまた稿を改めますね。
では、頭部管の話に進めますね。
頭部管のみで始めてみる
頭部管のみでの練習については様々に功罪が語られますね。
筆者は、目的を見定めて行えば悪くないと思ってます。
・とにかく鳴らしやすい
・鳴るピッチは気にしないのが大事
・音高を曲げる(=ベンドする)融通が広いので柔軟性の練習ができる
・頭部管で鳴らせない高音域は本体をつけて鳴らない
…そこら辺が頭部管のみで鳴らし始める時の留意点かと。
とにかく無理無く鳴らし始めることと、アンブシュアの柔軟性拡大を目的にするとよいと思ってます。
頭部管、おしり閉じ、チューナーのゼロに拘らない!
頭部管のオシリを閉じ切ると、1日の最初にも気楽に発音できます。
カスれにくいので残念な感じがしにくいから。
まずはピッチを「曲げ」て準備体操。
頭部管だけでの練習は「チューナーのゼロ点」に拘らないのがコツです。
逆に「出せる音高の幅を拡げる」のをゲーム的に愉しむのがよいでしょう。
筆者の場合、普通に佳い音色を目指すと、
標準ピッチ A=440Hz として 30セントほど高い A音 が鳴ります。
めいっぱい高めると 50セント高い B、下げると 50セント高い E。
偶然ゲップするともっと低くなるので、頑張ればもっと拡がるかも。
ピッチの「曲げ」は主に、歌口の穴を自分側に向けると下がり、向こうに向けると上がります。
それより低く出すには、口笛で低い音を出す時の操作(=顎は開き、アパチュアは開き気味で、舌は口腔底面に拡げるような)をしながら穴を自分側に向けるとよいでしょう。
更に高めるには、穴を更に向こう側にしながら呼気の向きは下げて、呼気の出口は小さくし呼気速は上げる、と思うと可能性が拡がるみたいです。
次に倍音も鳴らしてみます。
閉管構造の振動モードとなるので、基音に次いで第3倍音、第5倍音が出ます。
スタッカートの所は
・タンギング無し
・タンギングあり
の両方で試しましょう。
倍音の時、発音&消音の際により低い倍音の音が混じらないように気を付けましょう。
特に、柔らかいアタックの時とデクレシェンドして終えようとする時に、アンブシュア操作を巧妙にしないと下に落ちやすいですね。
頭部管でできないことは本体を付けてもできませんから。
気楽な頭部管で先ずできるようにしたいですね。
倍音に於いては曲げられる範囲は、かなり狭まります。
第3倍音では 30セントほど高い E を中心に上下に半音ずつくらい、
第5倍音では 10セントほど高い C# を中心に上下に 20セント弱ほど。
それらを根拠として、基音の標準的なピッチは少し高めの A と思ってよいかと。
もちろん、楽器ごとの個体差はあるでしょう。
筆者の実験環境は 1974年製、古典的スケール設計でカヴァードキーのヘインズです。
もっとモダンな楽器ならば違う結果にもなるでしょう。
そうそう、初心者は第5倍音は無理しない方がよいと師匠が言ってました。
アパチュアを「とにかく閉じて」無理に鳴らすという良くないクセが付くからでしょう。
本体を付けた練習で音域を拡げるうち、徐々に必要な筋力と操作も身に付くので、それからトライすればよいでしょう。
頭部管、おしり全開、無理にAを目指さない!
今度は頭部管のオシリを開いて鳴らします。
開管構造モードなので基音の次に第2倍音が出ます。
基音は筆者の場合、佳い音色を目指すと 20数セント高めの Ab が出ます。
ズリ下げると 60セント高い E、ズリ上げると 20セント高い Bb まで出せます。
第2倍音は 40セント高い Ab、下げると 20数セント高い G、上げるとほぼ A。
なので、オシリ全開な頭部管での基音の標準的音高は、少し高めの Ab なのでしょう。
調子がよい時には第3倍音の Eb まで出ますが無理しないが吉かと。
指つっこんだり、足部管を…
頭部管のお尻に指入れて、音出しながら出し入れすると色んな高さの音が出て面白いですよ。
練習すれば吹けるメロディーが拡がります。
で、
頭部管に直接、足部管をくっつけたりしても面白いです。
楽器によってはキツかったりしますけど、
壊さない程度に遊ぶと、柔軟性の拡張に役立ちます。
根拠の乏しい常識に囚われない、逆に利用する
ニッポンの吹奏楽的ナゾ常識 って色々ありますよね。
オシリ全開頭部管のとき「A音」でチューナーのゼロ点を目指させるのもその1つ。
第3倍音を出せば、少し高めの Eb になります。
ただでさえ高めになるはずの第3倍音でも、Aに対してのE ではなく半音下の Eb が鳴る。
なので、基音は A ではなく Ab と捉えたほうが、音色造りにもアンブシュア操作にも
自然な対応を見つけられると思われます。
なのですが!
「無理に A を鳴らす」体験も捨てたもんではありません。
ごく限られた場面で丁度よく活かせる「かもしれない」。
真ん中の C はブラ下がりやすい。高いとこの C は上ずりやすい。古典的楽器だと… (T-T)
ブラ下がったのを持ち上げる時に「無理に…」の経験を活かせるでしょう。
高いとこの C を少し下げるには勿論、曲げる練習を活かすことになります。
C# は、真ん中のも高いとこのも上ずりやすい。
最近の楽器だとそうでもない、のでしょうが (T-T)
ここももちろん、曲げて下げるわけですが、単に曲げるだけでなく、
音色を適切に造りつつ、という注意も必要ですね。
その際に、最初に紹介した LR を使った練習が活きてくるわけです。
〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜*〜*〜
※注釈※
↑で「真ん中のCはブラ下がりやすい」と断言したが補足説明。
すぐ上の C# は響きとピッチ確かさ感が希薄で明らかに上ずり傾向なので下げて吹くのが身に付きやすい。そのすぐ上の D と D# も少し下げ目というか「広め」に吹くものでしょう。
で、
真ん中の C もピッチ感(ピッチのツボの明瞭性)希薄だが C# ほどではなく、上ずり傾向も殆ど無い。
が、初心者だと大抵上ずりやすい。
だが C# を下げる習慣の付いた者だと、それが C に影響して低めに鳴らしてしまう確率が高まりそうです。
「ピッチ感希薄」だから融通の範囲が広くて周辺での操作の影響を受けやすいのかと。
希薄な C# と C だからこそ「それぞれ」の音程づくり&響きづくりを頑張るべしなのでしょう。
〜*〜*〜*〜*〜〜*〜*〜*〜*〜
音高の補正は運指の工夫でもできます。
フルートは大きい音は上ずりやすく、小さい音はブラさがりやすい。
基本的にはアンブシュア操作でなんとかしたいところですが、運指の工夫を知っておくと助かる場合も多いです。
調性によって低め or 高めに出したくなる音もあります。
高めたいのに音量は下げねばならないと残念な音色になりがち。
低めたいのに大音量を求めらると、それもまた…。
そういった時にも替え指は助けになります。
筆者はそれも徹底的に研究したので近いうちに書くつもりです。
楽器の改造で、、という荒技もあります。
左手の人差し指を離すと小さめな穴が開いて C# になりますね。
その穴の頭部管側を「パテ」で少し狭めて C# のピッチを下げる、って方法をトレヴァー・ワイ先生は教えてくれました。
古い楽器ではよく行われる方法らしいです。
ですが、もともと小さな穴なので音質劣化とバランスを取りながら慎重にせねば、なのでしょう。
※ フルートの歴史を辿ると、その穴が何故小さくてそんな位置に開いてるか、って話は面白いですよ。ぜひ探してみましょう。そこに C# の穴が在るって常識をブッ飛ばしてくれるメーカーの登場を期待します。
なのですが!!!!!
練習を重ねるうちに、替え指も改造も必要が減っていきます。
なので、
とにかく練習! ですね。ふぁいとぉっ♪
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