クラリネットの倍音練習_その2_マニアック編

以前クラリネットでの倍音練習について書きました。
「ピッチに拘らないのがコツ」ってテーマでした。
今回はマニアックに、
クラリネットで出せる倍音を網羅して、練習の可能性を拡げてみます。

前回のはコチラ↓

倍音練習の入口

まずは普通の運指を活かします。
シャリュモー音域でなにか音を出してからレジスタキーを押せば、オクターブと完全5度上の音になります。

それが鳴ってる最中にレジスタを離しつつ、その高さを保ちます。
その時のアンブシュアの状態とか、その周辺に感じてる圧力の状態などを観察して記憶します。
それを再現するつもりで、レジスタを押さずに高い音を出してみます。

こんなパターンにまとめてみました。
失敗しにくそうな音から始めるべく D/A(実音でなく記譜上の)で先ず例示します。

このパターンを半音ずつ上げて A/E まで。
ただし、出ない音は無理しない。
スロートの運指だとレジスタ押した音も倍音も、だいぶ音痴になるが気にしない。
そこまで行ったら最初の D/A に戻り、そこからから半音ずつ下げて E/B まで。

一番長い2つの音はこの段階で、インハーモニシティが甚だしいのが理由で、響かせにくく発音も重たいのが体感されます。

特に、最も長い音は第2次倍音を出しづらく、ジョー・アラード先生でさえ出し損じてる動画がある。ので、無理をしないが吉です。

クラの音痴を知る

クラリネットは奇数倍音のみを演奏に使えるので、倍音を出そうとすると
 基音・第3次倍音・第5次倍音・第7次倍音(ド・ソ・ミ・シ♭)
という順に登場します。

「使える」と書いたのは、クラの音に実際は偶数倍音も含まれているからです。
「取り出して利用可能」なのが奇数倍音のみだからです。

「クラの音色の特徴は奇数倍音のみ含む所から来る」
などと一般的には説明されますが、それは間違いです。
この話題の「その1(上のリンク)」に証拠写真を挙げましたので御覧くださいませ。

さて、それら倍音がマトモなピッチで出るのは管体の真ん中辺のみで、それより長い所・短い所では、第3次倍音ですら音痴になります。

第5次倍音は軒並み音痴。
たいていは下がるが上ずる箇所もあります。

入口その2

このパターンを半音ずつ上げて D/A/F# まで。出しにくい音は無理しない。
の次に、
書いたとこから半音ずつ下げていく。
すると、
3つ目の音は「普通の運指」と「基音相当の運指」との行き来が面倒だが、それも練習!
 (途中から倍音を出すのが難しくなる。それを越えるコツはこの先に。)
更に、
D/A/F# より管長の短い運指でも同じパターンに挑戦する。

ここに至ると「鳴らせる倍音群」は、かなり音痴なのが判ります。
レジスタキーの仕組を発明して改良してきた人達に感謝すべし

この練習のコツは、とにかくピッチのズレを気にしないこと。
ですが、
我慢できないとこは無理しない、あるいは、
「理屈としては一致するはずだが、実際はコレダケ違う」
とわきまえつつ練習すべし。

管体の長い所では、より高次の倍音も出せるので、このパターンを応用して第7次倍音、第9次倍音も使った練習もすべし。

とにかく音痴は気にしないこと♪

ギジレジを知っておくと練習拡張に便利

「ギジレジ」とは筆者の造語です。
本来はサックス練習用に作った概念ですが、木管楽器いずれにも使えるようです。
サックスでの詳細は↓

『ギジレジで倍音簡単!』 http://bit.ly/KT_gijireji

この3つ目の音を出すには左人差し指を離す。
そこに空く穴が、第5次倍音を出しやすくする「疑似レジスタキー」として働く為。

↑よりも管長が長くなると同じギジレジでは第5次倍音は鳴らしにくくなる。
替わりに別の穴を空けてギジレジとすれば、、、

そこら辺の智恵を活かした次の段階の倍音練習を次に挙げます。
その後に、その根拠となる観察結果を連ねます。

異運指同音の練習を網羅

違った運指でも同じ高さを出せるぞ、
って組合せを網羅しました。

倍音の理屈どおりにはいきません。
クラの倍音は音痴ですから。
結果的に同じ音となる運指を組み合わせました。

次の項目でこの結果の根拠を示します。
クラで普通鳴らせる倍音をほぼ網羅しました。
そこに「ギジレジ」の智恵もメモしておきます。

クラで常人が出せる倍音の網羅

とにかく出せる倍音を全て観察して記録しました。

第3次倍音はレジスタを使わないと殆どが少し低いです。
最長の E/B で -25~30セント。
短くするにつれズレは減少し G#/D# ~ C#/G# でほぼ一致。
D/A ~ F/C は短くするにつれて、下がるズレが増大。

以下の譜面では、左が理論上の自然倍音列、右が実際に鳴る音高。
右側の第5&7次に添えた運指はギジレジです。
ズレのセント値は、その音高で標準的と思えるアンブシュアで複数回試行した平均値。

ですが、楽器・セッティングで変わります。
ここでは、
 ・クランポンRC スカンジナビアン仕様・標準バレル 66mm。
 ・MPは ダダリオReserve X15E、
 ・リードは レジェール・ユーロピアン3
での測定例です。

あ、冒頭の写真は別モノです。
学生時代、生まれて初めて買ったクラ、YCL-32
レシートまで大切にとってある、って写真です(^_^;

第9次倍音以上はアンブシュアによる音高操作融通が大きすぎるのでズレ値は示しません。

あ!書き間違え! 左上端の文字「左中指」は「左薬指」が正解ですね (^_^;

はい、おつかれさまでした。
というわけでマニアック編だったわけですが、、
人それぞれに練習や問題解決に活かしていただければ幸いです♪

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