応答特性って?編_イヤモニのイヤーピース探し旅-3/6

連載第3弾。
今回は「応答特性ってなに?」がテーマ。
楽器の音色、ダイナミックレンジ(音量の大小差)、スピード感(リズム感)…
などなどの再現性能に関わる要素。
イヤフォンを理解するにも要る知識整理ってことで。
、、本題の IEM のイヤーピースになかなか辿り着きませんが… m(_ _)m
当連載の前回2回目は↓

応答特性→明瞭性。モニタリング用とリスニング用、最大の違い。

「スピーカシステムが電気信号にどれだけ素早く応えて、動き出したり止まったりできるか」
それを応答特性と呼びます。
電気信号と同じ音波波形が出力されれば応答特性は高いと表現します。

なかなかそのままの波形にはならないもので、
信号立ち上がりが遅れたり、形が変わったり、
制動性が悪いと信号が止まっても音は止まなかったり。
スピーカユニットだけでなくエンクロージャ(スピーカの箱)の設計によっても変化します。

聞こえる音楽の明瞭性、オーディオ用語的に言えば解像度に大きく影響します。

剛性と内部損失の両立

古典的スピーカーユニットでは
振動板の素材や厚みによる剛性・密度・重量などと、
素材自体の「内部損失特性」
が応答特性に特に影響するようです。

スピーカーに於ける内部損失と剛性の関係とは…

『振動板に振動が伝わると本来の振動とは別の振動が素材の個性により発生する。
それが起こりにくいほど内部損失性が高いと表現する。
おおかたの金属でそれは低いので、本来とは違う音色や余計な余韻(=付帯音)が付加されたり、立ち上がりが遅くなったりする。
紙などは内部損失特性が高いので付帯音は少ない。
ただし、
おおかたの素材で「剛性=堅さ」と「内部損失特性」は反比例する。
剛性が高いほど応答特性は高くなるが、内部損失特性は低くなるって弊害も付いてくる。
なので、
剛性と内部損失特性の両立を実現する、丁度良い素材とサイズを見つけるのが大切』

…ってことみたいです。
次回にまた詳しく触れる予定です。

ついでに「共鳴」。
エンクロージャーによって起こる共鳴によって増幅された音波は応答特性を低下させやすい。
そんなことも含め内部損失について解りやすい文章↓
https://kazima.hatenablog.com/entry/20170520/1495295778
↑の Hatena Blog「学問の小部屋」はオーディオについて科学的かつ理知的な文章が多く、筆者は気に入ってます。

インパルス応答の測定

応答特性の様子は主に「インパルス応答の測定」で観察されます。
極短い立ち上がり〜下がり、な電気信号をスピーカーに入力して、出力された音声信号の結果とのズレを見るような測定です。
↓ではそれが解りやすく紹介されてます。
https://audio-seion.com/rew-impulse/

テンモニでの測定結果は↓
https://audio-seion.com/ns-10m-measure/

立ち上がりの遅れが、音楽表情の再現に悪影響を及ぼすのは想像しやすいですね。
実は制動性の低さも音楽全体の解像度低さに大きく影響します。

インパルス応答測定では一種のパルス信号で様子を見てるわけですが、実際の音楽ではそのパルスが絶え間なく連続してます。

無駄な余韻があるとそれが、本来その時点で鳴ってる音にカブって音を濁らせます。
それが連続すると音楽全体が濁ります。
具体的には、楽器の音色や定位が掴みにくくなります。
本当は表現されてるはずのリズムがボヤけたりもします。

それは発音の形の歪みと相まって「スピード感に欠けた」結果となります。
それらの歪みはモニタリング用としては残念なわけです。
演奏された音の姿をできるだけソノママに聴き取りたいわけですから。

その結果は単純に甲乙つけられるものではない

ところがリスニング用では、その歪みもスピーカシステムの個性として快く受け止められることもあります。
ふくよかさ、懐の広さ、ゆとり感、クツロギ感、などと言われたり。
音場と呼ばれる「広がり感」に繋がる場合もあるでしょう。

テンモニや MDR-CD900ST を含め大抵のモニタリング用は音場がコンパクトです。
左右のスピーカーの「間に」ステレオの定位が表現されるように聞こえます。

リスニング用では、それ以上の広がりを感じさせてくれるものこそ歓迎されます。
応答特性の善し悪しが、モニタリング用として選ばれるか否かの大きな指標の一つでしょう。

リスニング用ではその点、逆にチョイスされる理由とも言えます。
どちらが絶対に良いってことではありません。
必要と好みに応じて選んだり、両方を使い分けたりすればよいのでしょう。

「音場」について「ナルホドこういう要素もあるのね」ってのに触れられるページを見つけました。MDR-CD900ST のリケーブル改造をしてる会社のブログ。
標準仕様では残念なケーブル構造のせいで「左右クロストーク」が起きてて、それが様々な不明瞭と音場狭窄の原因なのだと。
https://umbrella-company.jp/buzz/Sony-mdr-cd900st_mod.html

MDR-M1ST だとケーブル交換は簡単(選択肢は少ないけど)なので、似たような比較をできないか探してみます。そのうちリポートしますね。

ちなみに、
応答特性を過渡特性で説明する文脈も見かけるが、その言葉の使われ方はとても曖昧で厳密な使い方を筆者はうまく理解できてません(^_^;

Wikipedia _ 過渡現象
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E6%B8%A1%E7%8F%BE%E8%B1%A1

技術者向け用語辞典での「過渡特性」
https://em.ten-navi.com/dictionary/3043/

カーオーディオ記事での「過渡特性」
https://www.mycar-life.com/article/2015/12/25/3971.html

「インパルス応答の精確性=録音された音の忠実再生」をうたう Eclips の宣伝
https://www.otaiweb.com/eclipse/

次回は…

スピーカーの話をもう少し深めます。
そろそろ IEM のイヤーピースに辿り着く、か !?
次回第4弾は↓

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