「連符」を得意にする練習

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「連符が苦手」ってよく耳にします。
つまり「素早く連なった音高遷移が苦手」ってこと。
簡単に言えば「素速い動きのメロディ」ですね。

本来の「連符」って言葉は、そういう意味ではありませんが若い人達はそう使うようです。
その点は取りあえず脇に置いておきます。

苦手克服法を考えてみます。
筆者は木管楽器奏者です。その視点に基づく解決法の考察です。
他の楽器群にも応用できるでしょう。

「練習しろよ」ってことなんだけど、
どう練習すれば無駄なく効率よく上達できるか…。

大抵は、音階とアルペジオの練習をしろと言われますね。
ところがそれは、初心者にとっては意外と高い壁。
結構な困難とストレスに立ち向かうこととなります。
つまり、それら以前にすべき、もっと簡単な練習があるはず。

一般的な音階練習の書籍にある方法だと、どうしても
得手不得手のアンバランスができてしまいがちです。
それがどういうことなのかを紹介しつつ、
よりスムーズに「連符」と仲良くなるような方法を紹介します。

かいつまんで言うと、
音階練習の前に、更にその基礎となる練習をしとこうね、
じゃないと音階もアルペジオも徒労となりかねないよ。
ってことです。

最後に練習譜例を付します。
それ以前に、その練習に至った概念説明をします。
目標を見定めた練習こそより効率的となるはずですので、
しばらくは説明にお付き合いください。

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「連符」本来の意味

ある1拍や2拍、4拍を、2等分や4等分でなく、
3等分・5等分・6等分・7等分…とする概念と表記法のこと。
より複雑なものだと、
3拍や5拍を、2等分や4等分にする場合もある。

それが本来の連符の意味ですが、この20年くらいで何故か
「素早く連なった音高遷移」のことを連符と呼ぶ人が増えてるようです。
なので、
本稿では本来の意味を尊重して「連符」と表記することにします。

以前、関わることを書いたページ↓

よくある音階練習本の弊害

よくある音階練習本は大抵、
 ・長音階
 ・和声的短音階
 ・旋律的短音階
をその楽器の全音域で触れてから、
(書籍によっては1オクターブしか触れない…論外 (^_^; )
 ・1度と4度の三和音と、5度の四和音のアルペジオ
 ・いわゆる3度ないし4度の練習
それらを 12キー全てで触れるように書いてあるものです。

その方法のもたらす弊害、というか起こりがちな主な問題は…
a) 初心者には意外と難しい
b) 調号の簡単なキーばかり得意になり、調号の多いキーはいつまでも苦手
c) なぜか判らぬがシャープ系のキーがフラット系より苦手って管楽器奏者が多い
d) 主音からでないと音階やアルペジオを始められない人が多い
e) 音階の途中での折り返しは苦手となりがち
f) 旋律的短音階の練習では本来より2倍の無駄な労力を強いられる

a) について…
つまり音階以前に「すべき練習」があるはずってことです。
いきなり7種類の音高を並べろという前に、もっと単純な音高の組み合わせ操作に熟達する必要があります。

管楽器は「とにかく音を出せて指が動かせれば旋律(音階)が吹ける」というものでは無いからです。
木管楽器で言えば、サックスはどんな吹き方をしても取りあえず鳴ってしまうようにできてるから、そういった錯覚をしやすい。けれど、フルートやクラリネットではそうはいきません。

各音高を的確に鳴らすこと、
ある2つの音高を的確に移行すること、
それらを入念に練習しておかないと音階は完成しません。

b) について…
調号の少ないキーから練習を始めるように書かれてる本が多いから当然なことです。
いきなり音階から練習を始めるならそれで当然です。
どの楽器も移調記譜でのハ長調(C dur)が最も運指が簡単に作られてるから。

ですが、
音階以前の練習を的確に入念にしておけば、音階練習を始める段階で、
調号の多さへのアレルギーは無くなってるはずだし、
シャープ系が苦手というアンバランスも起きないはずです。

c) について…
これは本当に謎です、、筆者にとっては。
特にジャズ系奏者にとっては、初心者のうちに触れるであろう古典的楽曲題材にフラット系が多いのに起因するのかもしれません。

音階練習本に起因する要素としては、ハ長調の次にヘ長調(=♭が1つ)に触れる点が考えられます。
初心者にとってはただでさえストレスの多い音階練習、ハ長調の次にヘ長調を触れ終え、ト長調(=シャープが1つ)に取りかかる頃にはイヤな気持ちになってる、、のかもしれません。

、、確かな所は不明です。

d) について…
音階練習本では音階もアルペジオも主音から始まるからでしょう。
練習をする前に音階自体についての理解を得て、練習の意味も理解できてれば起きにくい問題。
練習本に書かれた通りに、意味も解らずガムシャラ機械的に行うだけだとそうなるのでしょう。

「音階とは…」については↓の御参照をお薦めします。
『カエルとアラレで音階名人・第1巻』
 http://bit.ly/KT_kaeruarare1

あるキーの第1音はアルファベット(音名)で言えばナニで、第2音はナニで、第3音は…
というのがすぐに出てくるようになれば、音楽の理解にも的確な演奏にも役立ちます。
そういったスキルを得られるような音階練習プロセスがあるとよいのでしょう。

もちろん、そういった考慮に基づいた優れたエチュードもありますが、
大抵の初心者が手を伸ばすであろう練習本だと、そういった観点には立っていません。

e) について…
本稿にて重要な問題です。
旋律中の難所となりやすい点ですから。

旋律が音階的であれ分散和音的であれ、
一旦ある方向に動いたのちに「折り返す」ことがあれば
「折り返しの練習」をしてないと難所となります。

音階練習やそれ以前の練習にて「折り返し」を、あらゆる可能性について触れておけば難所とはなりません。
つまり「連符」を克服する大きなカギとなります。

技術修練に特化したエチュードの類いに触れると解決しやすいものですが、
初心者が手に取るにはたいてい壁が高いものです。
それに加え、
古典的な良書は沢山ありますが、旋律的であろうとする為に「あらゆる可能性の網羅」には欠けたものが多い。
もちろん学習者自身がその欠落を埋める工夫をできればよいのですが、
「書かれてないものを練習する」
のは初心者にとって難しいものです。

つまり、
初心者でも使えるような「折り返し技術のための網羅的エチュード」があると佳いのでしょう。

f) について…
大抵の練習本では旋律的短音階を
「昇りは旋律的短音階で、下りは自然短音階で」
と書かれています。
古典的西洋音楽作法の1形態に即しているわけです。

ですが、バッハの諸作からして、そのルールが絶対である理由は見つかりません。
それ以降、つまりモーツァルト以降、和声的音楽が一般化した以降のものでは尚更です。

もちろん、和声の伴奏が無い状況では下りを自然短音階としたほうが、
短調としてのアイデンティティは保たれやすいのは確かです。

とはいえ、音階練習本の使命はナニカを鑑みるなら、、
下りを自然短音階、つまり平行長調の第6モードとすると、
旋律的短音階を練習する機会は 1/2 に減り、
長調の練習を余計にすることとなり残念です。

平行長調との関連性を感じつつ行う、という背景を学習者が理解するなら意味があるかもしれません。
ところが、
単純に運指やアンブシュア操作など、楽器の操作術の熟達を目標とするなら、時間と労力の無駄となります。

更に、
1950年代以降のジャズに於ける「モード」の活用に活かせる技術とするには、ソルフェージュ的観点からも
「下りも旋律的短音階のまま」
に練習するほうが、より効率的で実用的となります。

練習とは

a) 今できないナニカを出来るようにする努力
b) 関わる運動能力の増大と、感覚・判断・操作の精度向上を目指す行い
c) 実現したい結果のビジョンは不可欠。最も大切なのは「こんな音楽を聴きたい」というイメージ。
d) 求める結果に向けてイカにナニを行うべきかを掴むべく、研究・学習・哲学も不可欠。

そういった事々を意識しつつ日々の内容を構成してこそ初めて、なにかしら掴めるはずです。

実際には
「ひたすら繰り返す」ことです。
繰り返すうちに、
「意識しないとできない作業」を
「無意識に丁度良くおこなえる」ように変えるわけです。

ただ1つのことを単に繰り返すのでなく、
周辺の出来事をコロコロと変えながら体験を深めるような工夫ができるとより効果的。
ある一つの作業も、実際の楽曲の中では様々な前後関係の中に登場し、
それ次第で難易度も変わるからです。

音階練習以前に必要な基礎練習

「素速い複数音高の遷移」を巧く実現するのに必要なことを並べてみます。

a) 含まれる各音それぞれを確実に、求める音色・音量・ピッチで鳴らせること。

b) 各音を必要な形で美しく発音できること。

c) 各音に必要な「長さ」を明瞭に認識すること。テンポのキープとリズムの認識力。在るべき休符の長さの認識も大切。

d) 隣り合った「2音」を「隣りの音であれ跳躍した先であれ」出来るだけ隙間無く移動できること。移動した直後の各音が a) のクオリティを満たすように。先ずはスラーで往復できるように。次に各音にタンギングで区切りの発音を付け足します。

e) 隣り合った2音を美しく移動できるようになったら、3音、4音…と増やしつつその音群を何度でも往復。

a~e それぞれの実現に必要な練習を並べてみます。

a)
演奏したい音楽に応じて、必要な音域中の全音高を、求める音色・音量・ピッチで鳴らせるようにする。
倍音とロングトーンの練習が大切。フルートで言えばモイーズさんの所謂「ソノリテの本」の最初の方に書かれたような練習。

どの音域でも求める響きと音色に至るには倍音の練習がどの楽器でも効果的。
いずれもチューナーでピッチを確かめつつ行う習慣がつくと佳いでしょう。

ただし、倍音の練習ではマトモなピッチを保てないのが当然な音も多いので、それに留意しつつ行います。

b)
どの高さの音でも必要な形でのアインザッツ(≈発音)ができるように。
最初は「タンギング無しで、呼気圧とアンブシュアとのバランスのみ」で発音できるのが必要。
それができて初めて、発音のためのタンギングができます。

発音の練習はその順番で行わないと、発音の瞬間に、音高・音色・音量の「たわみ」がいつまでも残りがち。

c)
つまり、メトロノームやリズムマシンを伴ったリズムの練習が必要です。
「発音の位置」だけでなく「終音」の位置と形状(特に音量変化)を望む結果とするような練習が大切。

終音をデクレシエンド(ユックリでも素速くでも)で上手に収めるには、ゆっくりなデクレシェンドの練習が不可欠。
デクレシェンドする間にピッチ・音色などが要らぬ変化を起こさぬように。

更に、ジャズ・ポピュラー音楽では「ある位置でピタっと止める」ような終音を練習するのも大切。
リズムやグルーヴは発音位置だけでなく、むしろ終音位置でこそ表現されるものだからです。

d)
あらゆる2音高の組合せでスラーで往復する練習をします。
跳躍が大きくなっても、移動の直前直後で音がタワまないようなアンブシュア操作を心がけます。

スラーで巧くいくようになったら「区切りのタンギング」を付け加えます。
スラーでもタンギング付きでも、猛烈にユックリから始めて、リズムが崩れない範囲で少しずつテンポを上げてゆきます。

複雑で難しいことは、より簡単なことが出来なければ無理です。
確実に出来る簡単なことを積み上げて、より複雑なものを簡単にしていく、
そんな工夫こそ大切です。

e)
先程の2音から、連なる3音、4音…と音数を増やして往復練習。

コツがあります。
課題となるフレーズがあったら、お尻の2音から前へ向かって音数を増やす方が、前から後ろへ増やすより効率よく仕上がります。

スピードアップの壁

スピードを上げられない原因は主に…
1)折り返しの困難
2)難しい運指箇所でのコロビ
3)素速く「押す」より「離す」のは難しい
4)拍頭と折り返し点に起きる事件
5)2回できても3回目で間違える
6)運指による楽器の揺れ

1)について…
順次進行でも跳躍進行でも、旋律がある方向に進んでから「折り返す」ポイントがリズムの狂いを生じやすい。
音階やアルペジオの練習にて、あらゆる折り返しを体験しておくべし。

2)
各楽器の運指操作には特に難しい箇所があるものです。
そういった箇所でリズムが狂いやすい。
簡単と思い込んでる箇所でもよく観察すると狂いがちな箇所もあります。
そういった「無意識に生ずるリズムの狂い」を俗に「コロビ」と呼びます。

コロビの解消こそが実は、スピードアップの秘訣です。

コロビやすい箇所こそ練習時間を多めにとるべきです。
ちなみにコロビの解決法を詳しく紹介したのが↓
『爆奏!速弾き速吹き名人』
 http://bit.ly/KT_hayabiki-hayabuki

3)
指を「押す」動作はそのタイミングを意識しやすいが
「離す」動きには無頓着になりやすいものです。
スピードも力強さも、離す時の方が心許ないものです。

「離す」動作の時こそ慎重に観察して、的確なタイミングづくりを意識すべきでしょう。
その点の強化法についても↑の書籍で紹介してます。

4)
拍の頭や旋律の折り返し点。
そういった場所の音を無意識に
 ・音圧を上げてしまう
 ・音価を長くしてしまう(≈テンポが落ちる)

といったことが起こりやすい。
それもコロビの一種。
そういった箇所こそ平坦に通過する意識が大切。

5)
ある旋律を繰り返して2回できても、意外と3回目でつまづくものです。
3回目も無事故で通過できると大抵、何回でも繰り返せます。

未知の旋律の演奏に於いては、
ヴィジョンがテンポの先を行き続けるには根気が要ります。
その根気が果てた時に間違うようです。

3回以上繰り返せるようになる、のは、
イメージの展望と身体操作にとって、
その旋律が「既知」となった、その結果、根気は要らなくなった、
という状態なのでしょう。

6)
意外と影響の大きいのが、運指による楽器の揺れ。
構え方、指の動かし方などなど、よく観察して工夫し、
演奏中も心がけ続ける、、しかありませんね。

…で、大切なこと、

ユックリとできないことは、速くできるわけありません。
猛烈にユックリなテンポから確実なリズムを実現する、そこから少しずつ速くしていくべし。

なわけで、こんな練習パターン

前項までに並べた「すべき」を網羅したような練習パターンを組んでみました。

・同じ事を何度も繰り返せる。ただし、常に新たな要素を加えながら磨き上げられるように。
・「新たな要素」には積極的に触れるように。
・「折り返し」をあらゆる前後関係の中で体験できるように。
・「最も簡単なこと→より難しく」を行き来するように。
・より難しい目標に無理なく辿り着けるように。
・「本来の連符」と仲良くなるリズム教材ともなるように。

それらを満たすよう工夫しました。
これは「音階以前」の練習なのでキー(○調)に囚われず、純粋に音程の組合せで構成してます。

練習譜例の使い方と注意点

<内容の理解と練習の組立て>
 1)順次進行
 2)跳躍の順次的漸増
この2要素を行き来するよう作りました。

その日にかけられる時間や体力と相談して、
 ・1)だけ、
 ・2)だけ、
 ・両方とも
など適度に省略して臨みましょう。

ここには音程単位を半音とした譜例のみを挙げますが、
この先、全音・短3度・長3度、、、と練習は拡げられます。

その全てを1日でこなすのは無理なので、
長期的視点で万遍なく触れるような計画性も大切でしょう。

<最低音の設定>
とりあえず「最低音」をフルートの最低音 C4 として例示します。
まずは譜面どおり鳴らしてみましょう。
パターンを理解したら、
各楽器の都合や、その日の調子によって「最低音」を好きに設定してかまいません。

行き来の難しい「音域をまたがる辺り」など、
特に練習したい箇所に触れる回数を増やすような練習音域の工夫も佳いでしょう。

<全音域に触れるよう工夫すべし>
下に挙げた譜例は、パターンを読み取れる程度に途中まで、です。
パターンをそのまま拡げていきます。

上端ー下端の幅が広すぎると感じたり、時間が少ない場合は、
上端が上がるにつれて下端も上げて行くなど、適宜アタマを使って調整し、
いずれにせよ
「その日の練習ヒトカタマリとしては万遍なく全音域触れる」
ように工夫しましょう。

<アーティキュレイション>
最初は全てスラーで。
飽きたらタンギングを使って様々なアーティキュレイションを付けるのも佳い練習です。

<好きに繰り返すべし>
なるたけ重複の無いように例示します。
「ココからココまでは繰りかえすとイイんだろうな~」
と思える所は、何度繰り返してもよいです。

<完璧は目指さない>
常に「より佳い結果」を目指しつつも「完璧」に拘らないのがよいです。
「同じ事を様々な環境変化の中で体験を重ねる」ように作ったので、
どんどん先へ進めていくだけで自然に上達しやすくなってます。

<いつもメロディーを吹く音で>
常に「求める音色・音量・ピッチ」「求める発音の形」を意識して進めます。

世界に1つだけの「正しい」とか「絶対に美しい」なんてものは在りません。
貴方がどんな結果を「求める」かが、貴方の音楽にとって最も大切です。

かならず時間はかかる

ここでは「半音」を単位とした練習譜例を紹介します。
このパターンのまま、全音・短3度・長3度・完全4度…と単位を拡げてゆきます。
それらをこなせるようになれば、あらゆる音階とアルペジオは恐くなくなります。
調号の多少による得手不得手アンバランスもなくなるでしょう。
結果として、どんな「連符」も苦手ではなくなるはずです。

かならず時間はかかります。
あわてずジックリと、少しずつでも必ず毎日取り組みましょう。

ここでは半音での例のみをお見せしますが
「全音より広い音程での練習譜例も欲しい!!」
って人はコメント欄からリクエストをお寄せください。
皆さんのお声次第で全部書き出して出版しようと思ってます。

そうそう、ここでは順次進行での練習のみの紹介です。
より複雑な方向変化や音程の組合せについては↓をドウゾ
『音階練習「重箱の隅」・1』
 http://bit.ly/KT_juubako

孫の代まで使える音階練習本』
  http://bit.ly/KT_magomade

ではではレッツトライ\(^O^)/

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