ブラバンの指導者がよく口にするらしい
「倍音をよく聴いて!」
実際本当に「倍音を聴き取れ」ってつもりで言ってる人も勿論居るでしょう。
そうではないのに「倍音」と言ってる人も居そうです。
本当に倍音を聴く効用
例えばチューバがある音を鳴らしてるとして、その第3次倍音を聴き取れてれば、それにユニゾンできれば純正的な完全5度をバッチリ鳴らせてハモれるわけです。
第5倍音を聴き取れてれば、平均律の鍵盤楽器よりも 14セント低い長3度でちゃんとハモれるわけ。
とはいえ、第7次倍音の短7度は、なかなか聴き取れるものでは無いでしょう。
というか、、合奏で「バ~ンっ!」って大勢で鳴らした状況で、各音から倍音を聴き取るなんて繊細なことは、なかなかできるものではない。
それが現実かと思われます。
実は聴き取るべきなのは?
結論を言います。
・差音
と、
・加音と言われてしまいがちな謎の第3の音
です。
差音とは、2つの音高が1つの空間に鳴った時、それらの周波数の「差」にあたる周波数の音が聞こえる、という現象のことです。
物理的に実在するという説と、人間の聴覚の非連続性がもたらす錯覚という説がありますが、いずれにせよ人間の聴覚は知覚してしまうので「聞こえる音」として扱ってよいでしょう。
その「差」が 18くらいより小さいと「ウナリ」として感覚されます。
それより大きいと、しばらくはなんだか解らない領域があり、
30くらいになれば「猛烈に低い音」として感じられます。
100数十くらいから割と明瞭に音高を感じ取れます。
300を越えるあたりから逆に音圧は下がり聴き取りにくくなります。
この「差音を聴き取る」が出来ると、ハーモニー作りに大変助けとなります。
ですが、長三和音、短三和音、属七和音くらいのシンプルな時に有用です。
より複雑なハーモニーでは、適確な知識が必要となります。
(和音と差音が実際にどういった組み合わせになるのかは、そのうちガッツリ書きますね。)
差音は、2つの音のそれぞれよりも必ず低い音ですが、
2音の「間」とか、より高い音が1つあるいは幾つか聞こえる場合があります。
昔の人は差音に対して「2つの周波数を足した音」だから「加音」という呼び方をしたようですが、ちゃんと観察してみると、どうやらそれは間違いなようです。
2つの音がそれぞれに持つ倍音達がぶつかった結果、打ち消しあったり増幅し合ったりします。
その増幅された結果の周波数が聞こえる、というのが正解と筆者は思ってます。
2音の発音タイミングや、空間の環境によって聞こえ方は変わります。
「位相」という難しい言葉に代表される出来事と思われます。
そのうち解りやすく説明できるよう勉強しておきます。
それより更に聴くべき出来事
「ウナリ」です。
ユニゾンの場合は判りやすいですよね。ズレたらウナる。
チューニングの時に使われますよね。
え?使ってない?
チューニングの時に使うべきはチューナーでなく、ウナリの感覚ですよ!
チューニングの時にまずそれを感知できるようにしとかないと、合奏でのユニゾンは無理かと。
合奏の最中にチューナーと睨めっこしてると、周りでナニが鳴ってるのかを聴き取る耳は塞がれがちです。
チューナーの針とだけの仲良しに閉じこもらずに、周りでナニが鳴ってて、その関わり合いの結果、どんな音が出来上がってるのかを聴きましょうね。
さて、2つの音が完全5度や完全4度の場合も、ウナリを聴き取りやすいです。
それを利用して、
長四和音(メイジャー7thコード)や、
短四和音(マイナー7thコード)の、
第3音を基準にその完全5度上として第7音を見つけたりします。
9度の音を含む和音であれば、主音から完全5度上の音を基準にそこから更に完全5度上として9度の音を見つけます。
増4度を含む場合は、長3度→長7度→増4度(完全5度の2連続)と、取れなくもありませんが、上述の第3の謎の音から拾う方が現実的かもしれません。
もちろん、ナニが適確なのか、という知識と、感知する為の基礎練習は必要ですけどね。
問題なのはね…
それら差音・謎の第3の音・ウナリなどをヒックルメテ「倍音」と言ってしまってる指導者が居やしないか、ってこと。
そういう言葉の使い方だと「聴け!」と言われた時に「具体的にはナニを?」となります。
たぶんそういった時に適確らしい「正直な答」とは
「なんだかわかんないけど、とにかく聴け!」
なのでしょう。
小学生の時、リコーダーを使った授業がありました。
そこで音楽の先生が言ってました。
せ~のっ!で同じ(はずの)音を大勢で鳴らした時に、
「ま~素敵!リンリンと響き合ってるでしょ!これがハモってるってことなのよ!」
、、、今なら言える、、、デタラメはよしなさいね~、って。
ユニゾンのはずだからハモるわきゃわきゃない。
リンリンってのは、音高が様々にズレてるからウナリが起こってて、それが実音に干渉して音圧変化を生んだ結果。
…というわけで、、
せっかく「○○を聴け」と耳をそばだてるなら、
「聴くべきなのはナニか」について適確な知識を持ち、
聴き取れるようになるための基礎練習から始めるのが佳いのでしょうね。
じゃ、その基礎練習って?
そのうちまた詳しく書こうとは思いますが、とりあえずはその手の例題も含めた本があるんで、気が向いたら覗いてみてくださいませ。
『大人が始めるソルフェージュ_大人ソルフェシリーズ2基礎技術編』
http://bit.ly/KT_otona-solfege
その練習を始める前に、本当の入口となるような練習をまとめたのが↓
『なりましょハナウタ美人!_大人ソルフェシリーズ入門編』
http://bit.ly/KT_hanautabijin
聴き取れるようになるには必ず根気と時間はかかります。
慌てずじっくりと取り組んでみましょう。
筆者もずっと頑張ってますので是非御一緒にどうぞ。
☆美しいハーモニーって、こういうことだよね~って感じられる合奏、例えば…
この人達の突き詰め方って半端ない。
雲井雅人サックス四重奏団。
器楽界の誰もが憧れて然るべきってハーモニーです。
ちなみに、現在入手しやすくて最もオススメなリコーダーはアウロスの509B。
今、リコーダーと深く付き合ってるとこ。そのうち詳しく書きますね♪
コメント