リード楽器のタンギングは3種類に大別されます。
それを明瞭にしとかないと、練習する時も、教え教えられる時もモヤモヤが増えると思ってます。
1)音を止めるタンギング
2)発音の為のタンギング
3)音を区切るタンギング
1と2はともかく3をトニカクヤッテミヨウというのが大抵の教則。
ですが実は、
1を巧くできてこそ2ができるし、
2ができてこその3なのです。
1)は、
「振動してるリードを止める」です。
文字通りです。
止める時に、呼気圧とアンブシュアを「そのまま」にしておけば、スパっと止まります。
それらを変えてしまうと、音が止む直前にピッチ・音色・音圧に歪みが生まれます。
「音が」止まりきってからそれらを解放するわけ。
2)は、
これも文字通りです。が、
発音のためには、
・息を吸う
・MPを咥えてアンブシュア形成
・舌をリードに触れてタンギングの準備
・呼気を出し始める
・舌を離して発音
…これら5つの作業が必要です。
それらを「同時にしよう」と思っても無理です。
必ず5つのプロセスを用意してこなす時間がかかります。
実際にはそれを一瞬で行うので、まるで1つの動作のように感じてるだけです。
「発音の瞬間」とは、そのプロセスの5番目の瞬間のことです。
「タンギングは舌ツキでなく舌離し!」
ってよく耳にしますが↑を言い表した格言なのですね。
ついでに、
「ツキ」を「付き」と思うならまだしも、
「突き」と思う人も居て、非常にアグレッシブな演奏と、
リード会社の営業収益に貢献できてるかもですね(リード寿命が縮まるので)。
ともあれ、
「タンギングをしよう」と思ってから舌がリードから離れるまでの一連の動作と時間、その全てがタンギングなんですけどね(^_^;
さて、
発音に至るまで準備動作の時間は必ずかかる、のを解っておくと、
・出遅れ
・爆発的で荒っぽい発音
・発音直後の音程のユラギ
・タンギングしても音は出ず、少し経ってから音が出る
…は避けられるでしょう。
タンギングがうまくできない、と思ってる人はそこから見直すとよいでしょう。
そのプロセスをうまくするコツ。
まずは1)を上手にできるように。
その消音直後の状態をよく観察し記憶しましょう。
息を吸い、咥えたらソレを再現するわけです。
その状態から、舌を離します。
そうすれば、
「舌を触れさえしてなければ、音が出てる状態」
のはずなので、舌を離すだけですぐに音は出てくれるはずです。
つまり、
その瞬間に「2)が上手にできた!」となります。
3)は、
フレーズの最中に1)そして2)を一瞬で行う、ということです。
一瞬だけ音圧がゼロになる瞬間を作る、ということ。
ちなみに、まず1)をして、舌を触れ続けてる間、呼気圧とアンブシュアを保持し、その状態から2)をする。
それを繰りかえせば上手にスタッカートとなります。
実はそれが上手に出来て初めて3)はできるようになります。
「ゆっくり出来ないことは素早くもできるわきゃない」
ですから。
さて、
「一瞬」を巧くつくるイメージ。
カメレオンが蠅をペロリとする姿を思い浮かべましょう。
・口を開ける
・舌を伸ばす
・蠅を舌にくっつける
・舌を巻き縮める
・口を閉じる
という一連の動作ですが、カメレオン自身は、
「蠅をパクリ!」
「だけ」を考えてるはずです。
そこを発音の瞬間と思えば必要な準備動作の時間は、自動的に前倒しになるはずですから。
ちなみに、
ハーフタンギングを「ゆっくり」と上手にできるようになると、
一瞬だけハーフタンギングする
もできるようになります。
つまり、舌をリードに触れても音圧ゼロまでは落ちないということ。
それはつまり「レガート・タンギング」です。
2)の「区切り」の一種ですが、
上記の「一瞬だけ音圧ゼロ」は「マルカート・タンギング」なわけ。
それらの実際を撮影した映像↓(グロくて御免なさい)
ちなみに、
「フレーズのお尻の音を消え入るように処理する」
という作業はデクレシェンドに他ならず、
タンギングの仕事ではありません。
意外とその点混濁した質問も受けることがありますので。
1)と2)を上手に繰りかえせばスタッカートとなります。
その1音ごとを弦楽器のピチカートのように減衰させたい必要がある場合は、すなわち
「デクレシェンドを短時間に無音に至るまで行う」
わけだから、音圧操作の練習は不可欠ですね。
アクセントとか、スフォルツァンドそしてクレシェンド
とかも、タンギングだけの仕事でなく、音圧操作を巧くできてこそ、です。
その手の話もそのうち書きますね。
豆知識。
アクセント記号って、デクレシェンド記号を短くしたものなんだってさ。
そう思うとアクセントの正体と、どんな作業を&どんな練習をすべきか見えてきやすいですね。
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