リードミスの原因と対処法を考えます。
サックスやクラリネット、異様に高い音がキキ~っと思わぬタイミングで鳴ることがありますよね。
合奏中だと「リードミスっごめんね~」
っと言いがちですが、それは本当にリードミスなのかな?
ナゼ起こる? どうすれば起きない?
ちなみにリードミスって言葉は、この島国に独特みたいですね。
その出来事を「ミス」と捉え、ガッカリしたり原因となった自他を責める、
とか、
自分ではなくリードに原因がある、ヒトノセイってことにして自分の打ちひしがれを軽くする、
…といった気持を反映した言葉なんでしょね。
リードミスが起こる原因
リードが丁度よく振動できる環境が、
・楽器あるいはその操作
・マウスピースの状態
・リード自体
・アンブシュア
により阻害され、それでも無理に振動させようとすると思わぬ発音に繋がります。
「実はそれはリードミスではない」
という「思わぬ事件」もよく起こります。
それについては最後の方に詳しく書きますね。
そうそう、(後日追記_2020/05/01)
「出そうとした音と操作が「思わず」違った時」
もピキ〜〜っ!って言わせやすいですね。
もひとつ追記_2020/05/02
「期せずして疑似レジスターキーとして上手に機能してしまった」
て場合も多いですね。
詳しくは下の方に書きますね。
リードが丁度よく振動できる、とは?
リードの先端約1センチ辺りが、
左右の偏りなく満遍なく振動できる、
ということ。
「振動できる」とは?
リードの真っ平らな状態から、
マウスピースから離れる箇所を支点として、そこより先が、
MP に近づいたり離れたりできる、
ということ。
真っ平らな状態から外側に開くことは殆どありません。
それを実際に撮影した動画を見られるページは↓
↑リードが振動する原理も説明してます。
「左右の偏りなく」とは?
リードがMPに近づく時、
左右に弾力の偏りがあると、
片方だけが遅れたり近づききれなかったりします。
それは鳴らしにくい、つまりリードにとっては振動しにくいわけです。
左右よりも真ん中あたりが堅すぎたり柔らかすぎても同じ問題は起こります。
ですが、左右のバランスが悪い時ほどの問題にはならないようです。
真ん中あたりがどのような弾力が好ましいか、は好みに依るので、
各メーカーともハート部分(根本の堅い所と先端周辺との間の傾斜部)の削り方を色々と工夫するわけですね。
「万遍なく」とは?
リードがMPから離れる箇所から先端までは「バネ」です。
そのバネはどの部位もスムーズに引っかかりなく弾力を発揮してこそ丁度よい振動に繋がります。
部分的に堅すぎたり柔らかすぎたりがあると、スムーズなバネではなくなります。
MPではその範囲のことをフェイシングと呼び、最終的な開きの大きさだけでなく、そこに至る角度変化(=曲線の形)も設計に重要です。
MPを作る人は、
・丁度よく作られたリードが丁度よく振動できるように、
・それよりも少しクセを付けて操作を愉しめるように、
・ある種のクセを持った奏者が丁度よく扱えるようなクセを付けて、
などなど考えて曲線を作るようです。
単純な放物線曲線なら誰にも絶対的に素晴らしい、というわけではないようです。
「丁度よく」とは?
奏者が想定しにくい突発的不規則な出来事が起こらないような、ということ。
もちろん、日頃の基礎練習を重ねているのが前提です。
毎日の練習をしてこそ「いつもの当たり前の範囲」ができあがります。
だからこそ、その範疇を外れた出来事は突発的不規則と呼べます。
毎日の練習が無ければ全てが突発的不規則なわけで、そう呼ぶ価値もありませんから。
つまり、リードミスについて云々すること自体が、
毎日の練習あってこそ、ではあります。
楽器あるいはその操作、とは?
楽器の調整状態が悪く、閉じたつもりの音孔の閉じが中途半端だと、
つまり、スキマがあいてると、リードは振動しにくくなります。
「どの速さで振動すりゃえんじゃ?! ハッキリせいっ!」
ということなのでしょう。
吹き心地としては重苦しいものになります。
振動したがらないリードを無理に振動させようとすると、
イヤ!!!
っで、キーっと鳴るようです。
ふざけた書き方のようですが、
難しく言ったところで同じ説明になりそうです(^_^;
まずは楽器の調整をいつも万全にしておきましょう。
さて「操作」について。
サックスでは本当に上手にワザとしないと「半開き」は難しいです。
なので 調整がバッチリな限りは 操作が原因にはなりにくい。
ところが、クラリネットだと特に初心者のうちだと簡単に起こります。
穴を指で塞がねばならないからです。
特に両方の薬指は半開き(というか穴からズレて隙間ができる)になりやすい。
手の小さい人だと、小指を動かすのに夢中だと人差し指にも隙間ができやすい。
その途端に息苦しくモヤモヤと鳴りにくい状態になるのは誰もが体験しているでしょう。
そうなることが予期できていれば、息苦しい、という感想で済みますが、
「まさかそんなことになってるとは」
思いも寄らぬ時にそれは起き、それでも普通に吹き続けようとすると
キーっとなるようです。
スロート音域からクラリーノ音域下端の音にスラーで繋げようとすると、その現象に出会いやすいようです。
ちゃんと穴を塞げてるかな?
って気を付け続けて、うまく塞げる指の形と動かし方を身に付けるしかありませんね。
『出そうとした音と操作が「思わず」違った時』とは
さっきのと似てるけど、ちょいと違う。
(追記しました_2020/05/01)
「この高さの音を出そう!」
よく練習できてる人ならそう思った途端に、
その高さを出すための身体
になるものです。
身体中の色々なとこが、その音高を出すための最適位置に移動するってこと。
その結果、
「その音高を出す為の呼気」
が飛び出します。
その呼気は、
・音高
・音色
・音圧
といった「求める要素の情報」を背負って身体から楽器へ向かいます。
で、その時、、
運指を司る「もう1人の自分」がボ〜っとしてると、
「あらぬ運指」
をしてたりします(笑
志し高い呼気は思わぬ壁にぶつかり挫折を味わいます。
そんな時見事にピキ〜〜っ!は美しく高らかに、、(泣
、、、
解決策はですね、、
ボ〜っと生きてんじゃねぇよっ!
ってことなんだと思います(笑
疑似レジスターキーとして働いてしまったケース
(追記 _2020/05/02)
これも上の2つに似てるけど違う。
美しくクッキリと、いつも同じ高さで、意図しない高い音が出る。
レジスターキー、すなわち「音域切替キー」、
サックスだと1オクターブ上がるからオクターブキーと呼ばれますね。
クラリネットだとそうは呼べない(オクターブと完全5度あがるから)のでレジスターキーと呼びますね。
フルートだと、第2音域の一番下の D と Eb で、左人差し指を開けますよね。
リコーダーだと、第2音域では左親指は立てて穴を半分開けますね。
それらもレジスターキーとして働くわけです。
つまり、
ある倍音を綺麗に出しやすい状態を作る、
そういった働きです。
どの楽器も普通にレジスターキーとして働くボタンや操作、
とは違った やり方で、音域移行を実現する方法が
幾つも あります。
それを筆者は ギジレジ (つまり疑似レジスターキー)と呼んでます。
期せずして、つまり無意識に、
ギジレジとなる音孔に隙間を生じさせると、
意図しない倍音が出る、
、、、つまりそれってリードミスですよね?
回避法は、
「ギジレジを識り、それを使って出せる倍音を、ちゃんとワザとだせるよう練習する」
です。
無意識でやってしまってたことも、
意識的にできるようになれば、
意識的に「しないでも済む」ようになりますから。
クラリネットだと音高遷移の際どうしても隙間を開けてしまいがちな運指組み合わせがあります。それを
「ジワジワと運指移行して回避を身に付ける」
って考え方があるみたいですね。
音孔を開ける時にパッと開けずに、ズラすようにジワリと開けるって練習から、一瞬のクッキリした隙間を作らなくする、
…ということなのでしょうか。
音孔を直接に指で塞ぐことのないサックスを長く吹いてきた筆者です。
指で穴を塞ぐ世界はまだ新鮮なので、そういった工夫に触れるのがまだまだ面白いです。
実際にどんなことなのか、これから体験を深めねばならぬ研究対象です。
そうそう!サックスにも有りました。
真ん中の C と D(記譜音の)を行き来する時、初心者は簡単にキーキー言わせますよね。
それって典型的な「無意識ギジレジ」です。
それは、とっても簡単な運指の気遣いで回避できます。
このブログにもどっかに回避法を書いたはず、、あ、これこれ↓
さて、
サックスの場合、金管楽器のように音域を越えるリップスラーは難しいものですが、ギジレジを使った練習を重ねると少しずつできるようになります。
倍音の練習・フラジオ…の入口として便利です。
練習への活かし方をまとめました↓
『ギジレジで倍音簡単!』
http://bit.ly/KT_gijireji
フルートにも実に沢山のギジレジがあります。
いま研究を深めてます。
練習に活かせる智恵としてそのうち纏めますね。
マウスピースに起因するリードミス
サイドレール(リードに触れる面のU字型の窓=ウインドウ左右の細長い平面)や、
チップレール(MP先端の円弧状の細長い面)
が傷ついてるとキーっに繋がりやすいようです。
テーブル(リードにペッタリと触れる、ウインドウより下の広い平面)は、
設計思想により、
・真っ平ら
・中央部を少し凹ませる
などと色々あるようですが、
ここは傷というよりは、
ウインドウ下部「U字型のとこ」周辺でリードとの密着が満遍なく出来ていない、
つまり息漏れがあると、吹き心地が重くなったり、キーっを起こしやすくなったりするようです。
その部分の密着は、そのままサイドレール一帯の密着まで連続すべきで、その途中でスキマがあるとやはり問題の素となるようです。
フェイシング(リードがMPから離れ始める点から先端まで)の長さと形状が左右均等でないと、吹き心地の重さやキーっに繋がりやすいようです。
とはいえ、それらは設計思想次第で、極微妙に左右不均等やスキマを持たせる場合もあるようなので、一概にはピッタリが佳いとばかりは言えないでしょう。
お手持ちのMPの個性と自分との相性で、使いやすければ佳いのでしょう。
ですが、
実は道具が原因なのに、
自分の操作や体格のせいにして病んでしまう
のは不健康です。
楽器屋さんに行って、可能な限り色んなMPを試して、
自分にとって楽珍&快適に使える道具に出会いましょう。
リードに起因するリードミス
「先端に裂け目」
使っていると先端部から裂けることがありますね。
裂け目はリードミスを起こしやすいです。
ところが、
よく鳴るリードに限って裂けやすかったり、裂けても普通に使えたりすることが多いです。
なので、リードの色んな場所に縦方向に切れ目を入れる実験をする人も居ますね。
それで鳴るようになったとしても、裂け目の効果というよりは
「堅すぎる箇所の繊維を断ちきる」
ことでコリをほぐす効果なのかもしれませんが。
「先端に欠け」
大きな音量と明瞭なアーティキュレイションが続くと、リードの先端がポロポロと欠けることがあります。
マウスピースの先端よりもリード先端が部分的に下がる状態となります。
欠けた部分から無駄な呼気の漏れが起こります。
リード先端部での横幅いっぱいに万遍ない振動は阻害され、不規則な振動を引き起こします。
力の抜けた、風音の多い、鳴りきらない残念な音となります。
その状態で、無理にいつも通り鳴らそうとすると、
あるいは、それと運指の半端が相まってリードミスを引き起こすことはありそうです。
「弾力の極端な左右不均等」
リードの先端から1センチまで辺りで、弾力に左右不均等があると、
丁度よく振動できず、無理にそれを鳴らそうとするとキーっとなりやすいようです。
「リードのデザインとMPフェイシングの相性不全」
MPのフェイシングは放物線とは限りません。
先端からの長さも様々です。
リードのデザインも様々です。
先端からどれだけの長さをバネのようにするか、
どこからどんな形状で堅い土台としてるか。
それらがフェイシングとの相性を決めます。
フェイシングよりも長いバネ域を持ち、且つそこが薄めなリード、
だと発音の瞬間にキーっを起こしやすいようです。
フェイシングよりもだいぶ短いバネ域のリードだと、
先端の柔らかさで直感するよりは堅く感じられて、吹きにくさに繋がります。
その場合も無理に鳴らそうとしてキーっとなる可能性もあるでしょう。
マウスピースとリードのミスマッチング
単に鳴らしにくいリードを無理矢理鳴らそうとするだけでもリードミスの原因にはなるでしょう。
そのリード自体が鳴りにくい個体ではもちろんそうですが、少し違った理由もあります。
マウスピースのフェイシング
・の長さ
・の角度設計
が、リードと合わない時にも起こりえます。
リードはメーカー・モデルごとに、
どんなフェイシングのMPがベストフィットなのか、
それぞれ違った設計になってます。
そこがマッチしてないと、モゴモゴと吹きづらく、むりに鳴らそうとすればリードミスを起こしかねません。
特に、新しいMPを試す時には、リードを何種類か用意するのがよいでしょう。
マウスピースと自分のミスマッチング
いつもと違ったマウスピースに変えた時などに起こります。
いつもと違うフェイシングカーヴだと、
咥える位置がいつも通りでは巧く鳴らせず、モゴモゴと無理をするとリードミスを鳴らしかねません。
フェイシングが短めなら浅めに咥え、長めなら深めに咥えるつもりでよいでしょう。
短いのに深く咥えると、コントロールできず暴れん坊に。
長いのに浅く咥えると、息苦しくモゴモゴモソモソしがちです。
とはいえ、目の前のがどんな設計か判らない場合が殆どでしょう。
どんなマウスピースであれ、色々と可能性を試し尽くして、上手に使える吹き方を見つけるよう心がけましょう。
アンブシュアに起因するリードミス
「噛み締めすぎ」
必要充分なリードへの圧力は思いのほか小さいものです。
それ以上に圧力を加えれば「丁度よい振動」を阻害します。
つまりリードミスを起こしやすいわけですね。
「噛み締めすぎ問題」の有り様と解決のアイディアは↓を御参照ください。
「下の歯上端がリードに近すぎる」
噛み締めるのが目的ではなく、高い音域を出しやすくする為に、
下の歯がリードに近づくのは普通に有り得ます。
それが、丁度よい距離より近づくとリードミスを起こしやすくなります。
簡単な実験。
下唇のクッションを介さずに、下の歯上端をリードに直接触れながら
呼気を吹き込みましょう。
簡単にキーっと鳴るはずです。
それに近い状態となればキーっと鳴りやすいわけです。
リードが丁度よく振動できるような、下の歯とリードとの距離、
つまり丁度よいアンブシュアを見つけましょう。
丁度よいアンブシュアは
「世界にたった一つの決まった形」
では有り得ません。
求める音色・音圧・音域に応じて様々に変化するものです。
その「領域」と「丁度よい操作」を見つけるものです。
その点についても上記諸リンクを御参照ください。
「咥える深さの不適切」
フェイシングの分岐点よりも奥に下の歯が位置するほど深く咥え混んで、呼気を吹き込むと簡単にキーっと鳴りますね。
それでも普通に楽器の音がするなら、
・リードが柔らかすぎる
・猛烈によくできたMPとピッタリ過ぎる相性のリード
の、いずれかでしょう。
極端に浅く咥えた場合、当然鳴りにくくなりますが、
それを上手にコントロールして鳴らし続ければ、上手なサブトーンとなったりもします。
とはいえ、目指す音のイメージが明瞭でないのに「鳴りにくい状態」にして、
それに無自覚で無理矢理鳴らそうとすればキーっと鳴りやすいはずです。
この点についても上記諸リンクを参考に、貴方にとっての「丁度よい領域」を見つけるのがよいでしょう。
リードミス冤罪事件
(本件、上の2020/05/02追記とダブりますが、残しておいても佳きかと、御勘弁あれm(_ _)m )
リードミスではないのに、リードミスだと思い込み、
その解決のために勘違いな苦労を重ねてしまう。
そんなことも多いです。
サックス初心者に最も多いのは…
五線譜真ん中の記譜C(いわゆるド)からすぐ上の D(いわゆるレ)にスラーで上がる、
あるいはその逆の動きをする時に、
思ってない高い音が混じったり、そのまま高い音が伸びたりしてしまう。
これはリードミスではありません。
運指タイミングのマズさが主因で、
1つ上の倍音を 上手に鳴らせてる のです。
それが発生するための細かな要素は他に幾つもあり、
その中には「噛み締め過ぎ問題」もあります。
その解決法は本当に簡単です。
上記リンクの「…裏返える…」に書いてます。
最後に…
そうなって欲しくないこと
は、
それを上手に再現できれば、
初めて上手に避けられるようになります。
リードミスは、それを再現するのは意外と難しいものです。
幾つもの方法でそれを再現できるようになれば、
ワザとそれをしない、のも実現します。
制するにはよく識ることから。
そんな発想を練習に活かすって話を↓に詳しく書いたんで御参照いただければ幸いです。
『フルートWarmUp 一石三鳥!! _ おまけ:初めての音階とアルペジオ_』
http://bit.ly/KT_FluteWarmUp
とはいえ、思わぬ時に不規則に起こる事件だからミスなわけで。
もし起こしてしまったら、
「どんな顔してその場をフォローするか」
の練習もしておくのがよいでしょう。
大切な事。
リードミスごときで、誰の命も幸せも脅かされるものではありません。
のびのびと愉しみましょう (^^)/
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リードってアマゾンで買うとどんな値段なのかしら?
自分が最近使ってるのを検索してみる、、、、
過去ずっと昔々に買いためたのを使ってたけど最近ようやく現行品を買わねばになってるもんで、、、
お、↓はアンファイルドだけどお買い得、かな?
テナーだと、、
実は↑の2種類、その丁度真ん中ってなフェイシングフィットなのが欲しいのだよな〜、、他を試してみるべぇかな〜?
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