ハモリとは、結合音・差音・加音、ユニゾン偉いぞ_Blackbird奏法探求顛末その2

Blackbird 奏法探求顛末その2。
耳コピ進めてると色んな発見あり面白き哉。
ギターってスゴいな。
2音しか鳴らさずとも色んな音が同時に聞こえてくる。
響き箱にちっちゃいオーケストラ!な感じ。
ギターと初めてガッツリ付き合ってみて感動しきり。

本件「その1」は↓

倍音だけじゃない謎音

まず譜例2つ、そのあと説明しますね。

Screenshot
Screenshot

幾つかの音を同時に鳴らすと、鳴らしたのとは別の高さの音も聞こえてくる。

多くは、実際に鳴らしてる音の1or2オクターブ上に。
時々、オクターブ関係ではない全く別の音も聞こえる。
それが譜例↑の「赤バツ」。

譜例は上から1~6弦、調号はシャープ1つ。
7段目に聞こえた謎音。
ほんとはもっと沢山聞こえてんだけど。

White album の音にはっきり記録されてる。
自分で弾いてみても聞こえた。
最初はそれらも「弾かれた音」と思って書き取ったが、
弾いてみるとどうにも指&弦が足りない。

つまり、弾いてないけど出現した音ってこと。
実際に自分でも弾いてみて確かめられた。

自分の場合こうして書き取った音楽を、少なからず管楽アンサンブルにコンバートすんだけど、その時にこれら「謎音」もアレンジに活かすと本物っぽさに近づけられる。
もちろん管楽器同士でも同様の現象は起こるので、活かすか否かはケースバイケース。

で、ギターで色んな2音や3音の音高組合せ(=音程)を弾いて観察すると、謎音には実に沢山のバリエイションがある。
あまりに多いので今ここには記さないが、そのうち纏めてみたいもんです。

以下、なんで謎音が聞こえるんかな?
ってことについて識ってること判ってること諸々メモ書きを続ける。

開放弦の共鳴と謎音の自立性

ギターには「弾いてない開放弦」の共鳴(つられて一緒に鳴っちゃう)って特徴がある。

「弾いた音」が、弾いてない開放弦と
「ユニゾン(完全1度)、オクターブ(完全8度)、完全5度、長3度」
な音程だと開放弦は強く共鳴する。素の音より必ず小さい音圧で、ですが。
(もちろん開放弦でなく指で押さえた音でも共鳴はする。開放弦は共鳴が起きてるのを無意識に放置しがちってとここそ特徴、かな)

謎音と、弾いてない開放弦とが上記の完全音程な関係だと、やはり開放弦は共鳴する。
謎音が、より大きな音として捉えやすくなるわけ。

ですが、開放弦をミュートして共鳴を抑えても謎音は聞こえる。
つまり、謎音は共鳴ありきで存在するわけではないのが判る。

チューニングの残念と融通のありがたさ

(本項目以降ペロリと専門用語使ってます。ピンと来ない方は本サイトのサイト内検索窓から「平均律」とか「純正律」とかで検索すると解った気になると思います)

Blackbird を初めて or 久しぶりに聴いた瞬間
「ちょっとチューニング、変?」
って思う人は多いかもしれない。

平均律って言葉がある。ピアノなどで一般的な調律法。
1オクターブを均等幅な12個の半音で区切った調律のこと。
倍音列に基づく「よくハモる音程」は含まないが、妥協的に「まぁいっか」って範疇な音程の集まり。

ギターは基本的に開放弦を平均律で調弦するので、それと比べると「変?」って感じるんだろな。

ギターなどフレット弦楽器では構造の宿命で、演奏中常に完璧な平均律調律に居続けるのは難しい。
全フレットに亘り可能かと言えばってこと。開放弦だけなら可能。
逆に純正律はぜんぜん無理。
で、
ギタリストは弾く曲に登場するコードやダブルストップ(複音奏法)などが快く響くようチューニングすることもあるみたい。
それら諸和音が出来るだけ「よくハモる」ようにってこと。
そこで目指すのは平均律的音程ではなく純正音程ってこと。
平均律でいいやって人はそんな気遣いはしなくてもいいわけですが。

他の平均律楽器との合奏では、ハーモニーの響きの良さには目をつぶり、開放弦を平均律に合わせ、フレットを押した音は楽器のツクリに任せる。
楽器やリペアマンを選ぶ時の基準になり得るポイントかと。

とはいえそれでも気持ち悪いからなんとかしたい時、ギターはちょっと便利。
必要な弦だけを少しベンドアップ(チョーキング)してハモらせられる。

ただし調整可能域は上方向だけだからハモらせた瞬間は、他の平均律楽器より上ずってるわけだが。(根性で下げる達人も居るらしい。ネックをタワマせて全体のピッチを下げる強者も居る)
その点、管楽器は上にも下にも調節できるのは幸い。

平均律では「ちゃんとハモる」はユニゾンとオクターブ関係以外では無理ってこと。
純正律のような「倍音列に登場する音程を活かした」調律でないとハモれない。
もちろん純正律でも鍵盤楽器のように音高の固定した楽器だと「いくつかの和音」しかハモれない。
その点、管楽器やフレット無し弦楽器なら、もちろんヴォーカルも、キーや一時転調に応じてユルユルと音高調整できるのでいつでもハモれる。
ギターにも少しはその融通があるってこと。
そういった演奏は「純正律による演奏」ではなく
「倍音列に適った純正音程を使った演奏」
と呼ぶのが正解でしょう。

演奏中の細かなアジャストはさておき、開放弦の調弦だけについて言えば、
平均律楽器との合奏でなければ、
その曲に確率高く登場するコードの響きがよいように調弦する可能性は高いわけね。

この曲はギター1本の弾き語り。なので平均律に縛られない。
キーはGだから、Gメイジャーコードが快く響くようにチューニングしたんだろな。
それが「変?」ってことなのかと。
実際、Youtubeでレコーディング時映像を観ればその冒頭にそのようなチューニングの様子が映ってる。

謎音_結合音・差音・加音_タルティーニ音

異なる音高の2音が鳴ると、人はそれ以外のもう1つ以上の音高を認識する。

1)combination note 結合音
2)difference note 差音
3)sum note 加音

などと呼ばれる。

認知心理学界では「人間の聴覚の非線形構造が生む錯覚」てのが定説だが、
音響物理学界では実在する物理現象とする観察結果と論説も多い。
リスナーor音楽家としてはドッチデモイイことですわな。

1)組合せの結果生ずる新たな音
2)各音の周波数の「差」の周波数の音。引き算した結果ってこと
3)各音周波数の「和」の音。足し算した結果ってこと

で、

1)
色んな謎音の総称と言える。
2つの周波数の音の波形を重ねると、双方のパワーが打ち消し合ったり助長し合ったりって出来事が周期的に繰り返される。
その「音圧増減の周期」が新たな周波数となり、音として人に認識される、
ってことみたい。
素の2音よりも低い音になったり、より高い音になったり、
結果は様々なので総称としての結合音って言葉があるんでしょな。

2)
もっとも聴き取りやすい結合音の一種。
文字通り2音の周波数の「差」が新たな周波数の音として認識されるってこと。
つまり、素の音達より必ず低い音になる。
小さなスピーカーでも低い音を聴かす方法として応用される現象。
古典的には、バイオリンの名奏者にして作曲家で複音奏法を作品に多用しその結果「差音」の認知度を上げた人の名にちなんでタルティーニ音とも呼ばれる。

3)
結合音は差音ばかりでなく「より高い音」もよく耳にする。
で昔の人は「差音があるなら加音もあるっぺよ」ってことで「2音の周波数の合計の音」で加音って言葉を作ったのでしょな。
ですが実際にはそんな結果にはならない。ので今では加音って言葉を使う文脈は減ってる。
むしろこういう説明は絶えないから消えない言葉なのかも(笑

で、
「より高い結合音」は筆者の観察によると
 ・各音の倍音同士で差音が生まれた結果
 ・各音の倍音の内、助長し合う関係にある音同士が出会った結果
のいずれかな場合が多いみたい。

その証明には時間と手間がかかるので、いつかじっくり取り組んでみたいもの。

で大切なこと。
結合音が和声に対して快い音程で発生するのは、
素の音同士の音程が純正音程である場合、
つまり、
「ある1つの倍音列を共有するような音程」つまり、
「ある1つの倍音列の中に登場する音程」な場合のみ。

純正音程から構成されてない平均律では、ユニゾンとオクターブ以外で発生する結合音は、和声に対してちょっと妙な音高となる、あるいは聴き取りにくくなる(音圧が低い)場合が多い。

ギターのチューニングと人の耳の融通

てなわけでギター独奏の際には平均律とは違った開放弦調律がなされうるわけ。

例えばGメイジャーコードを調律の基準とすると、
 ・123弦の開放を使うオープンコードを基準とする場合
 ・3フレットセーハの運指を基準とする場合
では開放弦の音程バランスは変わる。

前者では1弦のGの完全5度上のDは3弦、
後者では完全5度上のDは4弦、
なので、
前者は3弦をほんの少し高めに、後者では2弦を…するって可能性があるってこと。

けど、演奏中どちらの運指も使うわけで、だいたい中間的満足を狙って調整するものかと。
そこで頼りになるのが、人のポジティブな和声的聴覚の曖昧さ。

調律に微妙な違いがあっても
「きっとこうだと美しいよな、そうそうきっとこうなのよね」
ってことで、美しい結果として受け止めようとするポジティブさが備わってるみたい。
もちろん許容範囲はあるけど。
なので平均律なんてのは許容されてるんでしょな。

もちろん、ちゃんとハモった演奏を聴けば、こりゃ確かに美しいとは感じるはず。
ですが残念なことに平均律を許容するのに慣れた我々の聴覚は、その感覚が鈍ってるかもしれない。
とはいえ、本当に素晴らしいハーモニーに触れると素晴らしい!って思う出来事は多い。
その時に感受してるのは結合音の現象なのだろな。

つまりね、
より美しいハーモニーを聞きたいから、微妙な音高調整をしたくなる
って気持は、よいハモリの状態にありたい、すなわち、
結合音を沢山聞きたいってことなんだろな。

てなわけで以下、ハモリについて考えを深める。

ハモリってどうゆうこと?

なかなか端的な説明を見かけない。
で、挑戦してみる。
ギターと仲良くしてみての閃きを書き留めておく。

「ある2音あるいはそれ以上の数の音高いずれもが、
ある1つの倍音列の中の音高である、つまり、ある1つの倍音列を共有してると、
実際に鳴ってる音以外の、その倍音列に含まれる諸音が認知されうる。
それは『ある倍音列を明示する結合音(群)』と言える。
その空間に物理現象として現出してるか否かはともかく人はそれを感覚する。
音数という情報が単純に増えるわけで、総合的音圧が増えるわけではないとしても、
よりリッチ(豊か)として受け止めうる。そんな出来事をハモリと呼ぶ。」

ってことでどうかな?

面倒くさい言い回しになったので、理解の助けになるような考察を以下に続ける。

協和と不協和

(この項目、呪文に聞こえるかも。気絶しつつ通過どうぞ。そのうち判りやすい解説書きます。とりあえずサイト内検索で「倍音」とか「不協和」とかで検索してみてください)

同時に鳴る2音の音程(=音高の隔たり)が、
 ・ある倍音列の「早い内に登場する音程」と一致すると、結合音の作用で聴覚に捉えられる「ある倍音列中の諸音」の感覚的音圧は、より大きくなる。
 ・「遅くに登場する音程」だと、それはより小さくなる。

前者の2音の関係を「協和音程」後者を「不協和音程」
と呼び慣わされてる。

🌷

知っておくと便利なこと、
 「早い内に登場する→協和音程→周波数比率が単純」
 「遅くに登場する→不協和音程→周波数比率がより複雑」
たとえば…、

・第1次倍音と第2次倍音の周波数比率は1:2、音楽的呼称はオクターブ=完全8度、ド〜ド。
・第2次倍音と第3次倍音なら2:3で完全5度、ド〜ソ。
・第3次倍音と第4次倍音なら3:4で完全4度、ソ〜ド。
・第4次倍音と第5次倍音なら4:5で長3度、ド〜ミ。
・5次と6次で5:6の短3度、ミ〜ソ。
・6次と7次で6:7、↑より狭い短3度、ソ〜シ♭。
・7次と8次で7:8の広めな長2度、シ♭〜ド。
・8次と9次で8:9の普通な長2度、ド〜レ。
・9次と10次で9:10、けっこう狭い長2度、レ〜ミ。
・10次ー11次、10:11、かなり狭い長2度、ミ〜ファ♯。
・11ー12次、11:12、かなり広めな短2度=半音(ってか狭い長2度)、ファ♯〜ソ。
・12ー13次、12:13、かなり狭い長2度(ってか広い短2度)、ソ〜ラ。
・13ー14次、13:14、けっこう広い短2度、ラ〜シ♭。
・14ー15次、14:15、まぁ普通なのか短2度、シ♭〜シ。
・15ー16次、15:16、狭めな短2度、シ〜ド。

↑の見た目は↓続く説明の理解に助けとなります。
特に「バリエイション」に関して。

🌷

協和音程のうち、2音それぞれの音圧差が丁度良いと
「まるで1音のように溶け込んで聞こえる」
そんな組合せが
「完全協和音程」
ユニゾン、オクターブ、完全5度、完全4度。
完全協和音程は「もうそれしかない!」って音程が決定的。
なぜ決定的かと言えば、
ある1つの楽音が鳴った時に生ずる倍音列の内、低次の幾つかこそ、それ以上高次の奴らより大きな音圧で、くっきりと音高が認識されうるから。

快く溶け合ってるが、ちゃんと2音には聞こえるような組合せが
「不完全協和音程」
長3度、短6度、短3度、長6度。

不完全協和音程は、その音程に幾つかのバリエイションがある。
倍音列の中で早めに登場する音程は確かによく調和するが、
倍音列の遅めの中にもそれらの音程(長短3度と6度)は登場し、
早めの奴らほど調和の度合いは低い。
遅めの音程群でも↓の不協和音程よりは調和度が高いので協和的と捉えうる。

なので、完全音程のように決定的ではなく(可能性がただ1つでなく)、
楽曲のキーや、一時転調でその時支配してるキー次第などで、
選択する音程に融通が在りうる。

喧嘩してるように聞こえる2音の音程は
「不協和音程」
長2度、短7度、短2度、長7度。

喧嘩してるとはいえ、ある倍音列中に含まれる音程と一致する2音なら、
「ハモリのツボ」を見つけられ、快い響きを作れる(平均律楽器では無理)。

この場合のツボな音程は、不完全協和音程の時より更にバリエイションが多い。
(倍音列の高次に2度や7度が幾つもの音程関係で存在してるってこと)
ツボったとしても協和音程のような「ある倍音列を感知させるパワー」は小さいので、その点は先述の「リッチさを感じさせる」上で非力と言える。

だが!
コイツらは、ある倍音列に縛られず、より多岐に亘る結合音を感知させ得る。
それも人は「よりリッチ!」と感じうる。
既出の「リッチ」とは別種のリッチさってことで。

昔の西欧白人文化では受け容れがたかったようだが、
新大陸で起こった、西洋とアフリカとの音楽文化融合の結果、人類はその新たなリッチ感を許容し始めたんだろな。
 ブルーズ~ジャズ~R&B~ロックンロール~ロカビリー~~〜
アメリカ音楽がレコード&放送産業を通して世界を席巻したエネルギー、
それは不協和音程の歓迎がカギだった、と筆者は解釈してる。
(それは純正律的ハーモニーと旋法的音楽の復権をももたらした、、って話は稿を改めていつか…)

でね、
Blackbird から聞こえる「謎音」、そのうち「赤バツ」にした音達、
それらは、実際に弾かれた不協和音程がカギとなり出現してます。

「ハモリのツボ」とウナリの関係

「ハモリのツボ」を判断するコツは、ウナリの聞き分け。

この項目、本サイト内を「うなり」で検索して眺めておくと理解が早いかと m(_ _)m

簡単な例から…
完全5度、ドとソをピアノなど平均律楽器で同時に鳴らすとウナリを聴き取れる。
自然倍音列に含まれる完全5度と比べて2セント狭いから。
ドの倍音列の第3次倍音として内在されるソの音と、実際に鳴らしたソの音、オクターブ違うとはいえ2セントのズレによりウナる。
音域によってウナリの速さは変わる。
調音楽器(フレット無し弦楽器、管楽器、声楽など)なら音程を2セント分拡げてやればウナリは消える。

長3度、ドとミの関係。
この場合もドに内在される第5次倍音のミと実際に鳴らした音との間にウナリが生じる。
この場合、倍音のミと実音のミは2オクターブ離れるので、さっきの例よりは聴き取りにくい。
だが、ドと純正音程のソを同時に鳴らすとミの音を「訓練された耳なら」感知できる。
その上でなら、実際に鳴らしたミとのウナリは簡単に感じられる。
で、
実際に鳴らすミを14セント下げてやればウナリは消える。

このように「ウナリを消す」ことこそが「ハモリのツボ」を見つける作業です。

ユニゾンってエラいな!

同じ高さの2音を鳴らす。
なんだか2音鳴ってる以上の「押し出し」を感じる。

なかなかあり得ないが、全く同じ音色・音圧で「ピッタリと波形が逆相なタイミング」で鳴り、その状態が維持されると、打ち消し合って聞こえなくなる。

そのピッタリ以外が殆どなわけで、大抵は2音鳴ってる以上のナニカシラが起こる。

ほぼ同じ音色でも、音圧の大小で現象は微妙に変わる。

違う音色同士だと、そのナニカシラはより面白く現象する。
新たな音色、その2本とは違う楽器の「1つの音」みたく聞こえたりもする。

音圧の増大感、音色の変化、、、
それらは、各音に含まれる倍音相互による結合音の結果と筆者は理解してる。

同じ音高の2音とはいえ、音色が違えば倍音を構成する各音の強弱偏位は違う。
結果として、2音それぞれが持つ倍音群の構成音同士で、原音とは違う結合音が生まれる可能性が様々にあるんだろな、、、(この点、実証すべく要研究ではあり)。

つまりユニゾンで起こる出来事もハモリ現象の一種なんだろな。
その現象が、オーケストレーション(管弦楽法)って興味の出発点の1つなんでしょな。

blackbird では随所で、
開放3弦のG音と、ユニゾンor オクターブの音が同時に鳴る。
その時「同じ音が鳴ってる」って以上な響きの妙が生まれてる。

ギターでは同じ高さの音が幾つものポジション(フレット位置)で鳴らせる。
それらはそれぞれに音色が違う。
つまり、その音色を構成する倍音群の偏位(どの要素がどれだけ強かったり弱かったりか)が違う。
その結果、それらの音がもう1つの音と同時に鳴った時の作用=どんな結合音が生まれるか、にも違いが生まれる。
たとえユニゾンであっても。

そこら辺こそギターをオーケストラだなぁと感じる要因かもしれない。

ピッキング強弱と結合音

同じ音高組合せ(=音程)でもピッキング強弱で結合音の出方は変わる。

アコギって音圧の大小ってけっこう狭い。
けど、
ピッキングの速さとか強さを変えると
 1)発音の形
 2)発音の瞬間のノイズ成分の様子
 3)発音後に続く音色
などが変わる。
それで音圧変化的表現を補完してるわけね。

オーディオ用語で言えば、1)2)はトランジェンド(アタック)、3)はサスティン。
減衰してく音のオシリはリリースだけどここでは関係ないかな。

音色、つまり各音の倍音構成その偏り方が変わるわけで、当然に結合音の出方は変わる。
テッペンの譜例で、実際に弾いてる音はほぼ同じだが赤バツが違うのはそういうこと。

とね、
ポールの演奏では、人差し指の爪の内側と外側とで音色が微妙に違う。
譜例でストロークのアップダウンを示した箇所。
その点もこの曲のグルーヴ形成に寄与してるみたい。

調律法が世界や魂を救いはしないよ

純正律は世界を救ったりしないし、
ヒーリング効果が絶大で貴方の魂を救ったりもしない。

だってさ、
そんなことドンケアな音楽でも僕らは元気づけられて救われてきたじゃん?

でもね、
純正律って「調律法」はともかくとして、
倍音列に適った「純正なハーモニー」の美しさを感じ取る能力を大切にするだけで、日々音楽に触れるタノシミは増えると思うな。

ぜんぜんBlackbirdの話じゃないじゃんっ!

…でしたな(^_^;
ま、あの演奏の美しさを解明しようとしてたら、こんな事々を想起させられたって書き留めなんで御容赦くだされ。
次回こそ「Bメロは転調じゃないよ」って話を書くつもり、、予定は未定~♪

本件関連で読まねばって思ってる書籍

「アリストクセノス『ハルモニア原論』の研究」

古代音楽論集 アリストクセノス/プトレマイオス

音楽教程 ボエティウス

中世音楽の精神史: グレゴリオ聖歌からルネサンス音楽へ

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