The Beatles ってか Paul McCartney の Blackbird 、
あらためて美しいな~弾いてみたいな~と思い、ギター初心者な筆者は White album 版の耳コピから始めた。
「世のコピー譜を鵜呑むべからず」が御先祖様の言い伝え。盲信は避けるべし、なので。
Youtube に「間違いだらけの Blackbird」的タイトルを英語も日本語も見かけたが観ない。
誰かを蔑むって次元に居たくないし「衝撃の事実!メディアは報道しない真実」みたいな煽り厨にもなりたくない。答は全て音の中にあるんで。
でも最後には本人映像見まくって目からウロコ落ちた(^_^;
って顛末を書き留めます。
ギタリスト諸兄には判りきったことだと察しますが、初心者の喜び吐露ってことでご笑納くださいませ m(_ _)m
なんか違うな~
まずは聴き取りから始めたが、小休止してwebで譜面なぞ検索してみる。
色々見た結果おおかた↓みたいな感じだけど、なんか違うな~(^_^;
、、、もっと色んな音が聞こえる気が…。
作家が出版社に作品情報を提出して、それが著作権管理団体に登録されて、
それを素に楽譜出版社が譜面に仕立てる。それをプロアマ問わず奏者は頼りにして…、
ってのは当たり前の構図。
でも、
「演奏時にゃソレどおりに演ってないよん」ってのも当たり前。
本人(筆者)が言うんだから間違いない、はず(笑
もしや1弦ドロップD?
ともかく聞こえる音を書き留めた。
(本稿はイントロのみまでにしときます)
弱く弾いたのか、倍音が共鳴して聞こえてるのか、それとも錯覚か、
いずれか判らぬ小さな音も書き留めた。
それが譜例↓の「赤小玉」の音。
で、弱くとも弾いてるとしたら1弦を全音(長2度)下げて
「1弦ドロップD」
って変則チューニングが正解じゃないか、と思えた。
(普通 ドロップDと言えば6弦のこと)
するってぇと、この後にも便利そうな箇所が沢山出てくる、、が、一番最後(この曲の)にコードをジャンっと弾いた時の1弦G音の運指がどうにも不便…はてさて、、?
同じ音をレギュラーチューニングで行けば…
レギュラーチューニングで同じ音を鳴らせるかトライ。
3フレットをセーハした普通のGコードから始めれば、
2拍目は5フレットセーハのAm7。
ところがそれだと、
真ん中でドローン的に鳴り続けてるG音が、1~2拍目と2~3拍目の間で途切れちゃう。青玉のとこ。
2弦の2拍目アタマとウラも同弦のプルオフに聞こえるのに…。
たぶんこういうこと↓ではないのだろう。
ところで2小節目のフィンガリング
さっきの2つの譜例を仮に正解だとして、2小節目で右手をどう動かせばポールの音になるかがよく判らなかった。
低いG音は親指だとして、残りの細かい音達を人差し指で掻き鳴らすわけだが、どうにもあのグルーヴというか、各音の音圧バランス変化にはならない。
で、思いついた。
トラヴィスピッキング( Travis picking )のロールパターン( rolling pattern )が基本なのではないか、と。
※参考
Marle Travis _ Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Merle_Travis
ファーザー・オブ・ロカビリー・ギター_マール・トラヴィス_Rock colum by 8tetsu
https://the-king.jp/hachi_26.htm
1930年代末にアメリカ音楽に於けるフィンガーピッキングギターのスタイルを確立した偉人。
チェット・アトキンス、カール・パーキンス( Elvis Presley band )等も彼を模範とした。
つまり、カントリー ~ ロカビリーといった白人系アメリカ音楽のギターサウンドの未来を決めた人。
もちろん同時代黒人の R&B~ロックンロールなどとも影響の行き来は濃厚。
なので、
彼が居なければプレスリーもビートルズも全く違う音になってたし、AOR黎明期のケニー・ランキンとかも違ってたと思うとそれ以降の世界中の音楽の姿も変わってたはず。
トラヴィスピッキングとは、
右親指が、コードのルート(根音)と、5度あるいはオクターブ上のルートと
の間を規則的に行ったり来たりしつつ、人差し指で他のコード構成音やメロディーを挿入する弾き方。
親指の動きからギャロップピッキング( gallop picking )とも呼ばれる。
黒人のピアノ音楽におけるストライドピアノ( stride piano )のギター版とも言える。
ちなみにストライドはラグタイム~ブギの系譜にあるピアノ奏法で、デキシーランド~シカゴあたりでは当たり前なことで、後のジャズピアノ演奏家達にも必須の歴史的教養なのでしょう。
親指と人差し指の2本だけで行うツーフィンガースタイル( two fingers style )がマールの特徴で、その驚異的馬鹿テクは真似し難しく、追随者の多くは中指も足してスリーフィンガー( three fingers )で真似した。
ともかく決定的な特徴は右親指のコンスタントな動き(=ギャロッピング)。
↓の譜例(最もシンプルなローリングパターン)では5弦と3弦のオクターブ行き来を右親指でやるわけ。
で、それをやりつつ、なんとなく隣りの弦にも触れて鳴らしちゃうとポールっぽくなるんかな? と思った次第。
だが、なかなかポールっぽくなりきらぬ(^_^;
結果的に実はイイ線いってたのだがポールはもうヒトヒネリやらかしてくれてたのに、この時点では気づかなかった。
結局 youtube を見まくることに(^_^;
音からだけでは辿り着けず、少し悔しいが youtube でポールの映像を観まくった。
1968年、制作時の映像はもっとも刺激的ですな。
メトロノームみたいな音は両足のタッピングで、同時にメトロノームも鳴ってるって説もあるが足音だけみたい。
制作時記録はスタジオ内だが、採用テイクはスタジオの屋外に機材運び出して録り、周囲の響きと環境雑音も入ってて、鳥の声も一部は同時収録って説もあって面白い。
後の時代の映像も観て回った。
おおかた同じことを弾いてるが、時を経て無駄が減って洗練されてくのが面白い。
勿論ショーアップ的に、より無駄なこともその時々で付け足してはいるが。
つまり最初の White album の音には色々と無駄が混じってる。
鳴っちゃった音、鳴らしきれなかった音、そら違うべって音…
で、
最初の「赤小玉の音」は、
倍音共鳴で鳴った弾いてない弦の音、あるいは、
差音現象で聴覚に感知された音高
と解明、ってか判断した。
なによりも右手の使い方に目ウロコ!
↓の譜例に書いたとおり。
映像を観てはじめて理解したこと。
2小節目では、
右親指は8分音符の尺で規則正しく5弦と3弦を行き来。
人差し指も1つ前譜例のシンプルなトラヴィスピッキングの動きとほぼ同様。
で、
どちらの指も周囲の弦を巻き込んで掻き鳴らしてる。そこまでは判りやすいが、
スゲぇっ!ってポイントは…
偶数拍目の8分ウラは親指でなく人差し指。
直前の人差し指アップストロークに続けてのダウンストロークで、
人差し指(あるいは中指も交えて)の爪で何本かの弦を勢いよく掻き下ろしてる。
この「方向切り替え」による各弦音圧変化を「大玉・小玉」で示した。
音圧というか「アタリの強さの変化」なので、厳密にはヴォリュームでなくベロシティの変化って感じ。
あぁ!これがあのグルーヴの源なのね\(^o^)/
この方法はこの曲の随所で使われてて、
↓なグルーヴを巧みな音色変化を伴って実現してる。
てなわけで、
2小節目のみならず「全曲を通して」1小節目のような
「2声の4分音符ハモリ+ドローンで構成」されてるような落ち着いた表情の箇所でも
親指のステディなストライド を続けてるのが判った。
それも弛まぬグルーヴの源泉!
伝統
なわけで、たったこれだけの一端から、
ポールさんも、マール・トラヴィス、チェットアトキンス、カール・パーキンス…といった音楽史の流れの中に居て、且つ革新者の1人だったと感じられ感慨ぶかし。
で、こんな映像↓を見つけて感涙しちゃった
Carl Perkins and Paul McCartney Carl Perkins Medley
https://www.youtube.com/watch?v=K5JLSUJft3I
Paul McCartney tribute to Carl Perkins at the 1999 Rock & Roll Hall of Fame Induction Ceremony
https://www.youtube.com/watch?v=3UynyEvJUEI
Carl Perkins, George Harrison, Eric Clapton – Medley – 9/9/1985 – Capitol Theatre (Official)
https://www.youtube.com/watch?v=x_T8mRnqCwE
Carl Perkins w/ Eric Clapton, Ringo Starr – Matchbox – 9/9/1985 – Capitol Theatre (Official)
https://www.youtube.com/watch?v=aM9GQDibqxw
すぐ上の2つのFull版
Carl Perkins – Full Concert – 09/09/85 – Capitol Theatre (OFFICIAL)
https://www.youtube.com/watch?v=vsTH1tgIh2E
https://www.youtube.com/watch?v=5ZmzvXGvjGY
で、あらためて↓なんて聴くと歴史と革新にシミジミ感動するわけです。
The Beatles – 1964 – Beatles For Sale
https://www.youtube.com/watch?v=SUQD8MwEOfs
Bメロは「転調」じゃないよ
いわゆるBメロ部分。
「並んでるコードはどれもFメイジャーのダイアトニックなのでFメイジャーに転調してる、けどいつのまにかGメイジャーに戻ってるのが見事」
みたいな分析を見かけることあり。
クラシカルな分析だと確かにそう言うしかないし、転調という扱いができなくもない。
が、旋律からしても響きからしても、主音( tonic )はあくまでもG音であり続けてる。
ので、アメリカ音楽的な or 旋法( modal )的な、或いはバークリー的な分析をするならそれは○○!(←種明かしは次回のオタノシミ〜♪)
イントロ最後の「短7度~1度」のスライドグリッサンドや、
タイトルや歌詞と、↑の楽理的解釈とは結びついてヴィジョンを描いた、
って思うとなんともドラマチックなのだ♪
てなことを次回は書こうって予告しときます。
例の如くいつになるか判りませんが(^_^;
で、
全曲コピー譜を出す、、かどうかも、はて、どうしよっかな~?
☆この続き「その2」はこちら↓
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